スプリング・ジャパン機長、飲酒制限抵触で国交省が厳重注意


飲酒規程違反隠蔽の悪質事案

 国土交通省は5月9日、スプリング・ジャパン株式会社に対し、運航乗務員の不適切な行為と不十分な安全管理体制について厳重注意を行った。3月18日に発生した北九州発羽田行きSJ0444便の機長による飲酒規程違反と、それを隠蔽しようとした行為が問題視された形だ。

 同社の運航規程では、飛行勤務開始前12時間以内の飲酒禁止や、飛行勤務開始12時間前に体内に残存するアルコール量を4ドリンク相当以下とする量を超えての飲酒禁止を定めている。しかし当該機長は、これに抵触する飲酒を行ったと認められる客観的データが検出された。

 機長は会社からの聴取に対し、規程違反の飲酒を否定。アルコール検知は栄養ドリンク等の影響によるものと説明したが、国交省の立入検査では、機長に貸与されたアルコール検知器に出頭時刻の約5時間前からアルコール検知の記録があり、その後も十数回にわたり検知記録が残されていた。検知されたアルコール数値は時間経過とともに合理的な減衰傾向を示していたという。

 さらに問題なのは、機長が規程で定められた出頭時のアルコール検査を実施せず、出頭後もアルコールが検知されなくなるまで自主検査を繰り返した点だ。副操縦士を含む他の関係職員もこの行為に疑念を持たず、結果として当該機長による乗務が行われた。

 国交省はこれらの行為について「当該機長が違反行為を行ったうえで不合理な説明により違反行為の隠蔽を図ったと認められる悪質な違反行為」と断定。また、「貴社のアルコール検査体制が適切に機能しておらず、貴社の安全管理システムが十分に機能していない」とスプリング・ジャパン社の体制にも問題があると指摘した。

 同社に対しては、事案の要因分析を確実に行った上で、飲酒対策を含む安全確保に関する意識の再徹底を図るよう指示。アルコール検査体制の再構築を含め安全管理システムが継続的に適切に機能するために必要な是正を図るよう求めた。再発防止策については5月30日までに文書で報告するよう指示している。

 国土交通省航空局は、同社において再発防止が確実に図られ、安全運航のための体制が維持されるよう、引き続き指導監督を行っていくとしている。航空業界における飲酒問題は過去にも複数発生しており、乗務員の規律遵守と会社の監督体制の強化が改めて問われる事態となった。

 

 
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