震災後の観光客40%減から最高記録更新へ ネパールが語る「観光復興」の可能性


被災したネパールの都市バクタプル(修復後)

 イントレピッドトラベルは4月30日、ネパール大地震から10年を迎えるにあたり、観光業が被災地の長期的な復興において重要な役割を果たすとの見解を発表した。地震発生後の観光客減少がネパール経済に与えた影響や、観光回復が地域社会を支えた実例を示し、持続可能な復興支援の方法として責任ある観光の重要性を訴えている。

観光は被災地復興の生命線 ネパール地震10年で報告

 株式会社イントレピッドトラベルジャパンの大西良樹代表取締役とイントレピッドトラベルアジア担当マネージング・ディレクターのナタリー・キッド氏は、2015年4月25日に発生したマグニチュード7.8の巨大地震から10年を迎えるネパールの復興過程を振り返った。地震では約9,000人が犠牲となり、多くの地域が壊滅的な被害を受けた。世界中から救助隊や寄付などの支援が集まる一方で、観光客は急減。同社も震災後1年で利用客が40%減少した実態を明らかにした。

 観光客の減少は、観光業に依存するネパール経済にとって「二次的な危機」となった。緊急支援は素早く行われたものの、持続的な回復には観光の再開が不可欠だという。イントレピッドトラベルは同様の経験を持つ日本の事例も紹介。2011年の東日本大震災や能登半島地震からの復興過程でも、観光が地域経済の支えとなっていると指摘した。日本はネパール復興のため、2015年以来2億6,000万米ドル以上を拠出し、生活支援や防災体制の整備などを行っている。

観光回復で経済好転

 ネパールの観光業は徐々に回復し、2017年にはトレッキング観光客数が過去最高を記録。ネパール政府による安全性とインフラへの投資が効を奏し、観光業のGDP寄与率は震災前の4.3%から2019年には6.7%まで上昇した。昨年は100万人以上が訪れ、観光業の回復を示した。イントレピッドトラベルネパールは2024年、トレッキング代理店として外貨を最も獲得した企業として認定された。

 同社は「パーパスを軸とする観光業には、地域経済を支える力がある」と主張。先月ミャンマーで発生した大地震の際も、日本のサプライヤーやパートナーと連携し、同社の非営利団体「ザ・イントレピッドファウンデーション」を通じて12万円以上の募金を集めた。災害発生時の速やかな支援のため、日本レスキュー協会とも提携しているという。

 イントレピッドトラベルは35年以上にわたり「責任ある旅行」を推進している企業で、900本以上のツアーを運営。28か国に広がるネットワークを持ち、エシカル・トラベルへの取り組みで世界的な評価を得ている。2018年にはBコープ認証を取得し、非営利組織を通じて1,800万ドル以上の資金を160以上のパートナーに提供してきた実績を持つ。

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