【VOICE】魅力的な北海道の食材 ホクレン農業協同組合連合会・農産部特任技監 加藤淳氏


ホクレン農業協同組合連合会・農産部特任技監 加藤淳氏

インバウンドには豆料理でおもてなしを

 アフターコロナとなり、北海道内の観光地や人気飲食店はインバウンドの観光客であふれている。北海道の食というと、ジンギスカン、ラーメン、海鮮料理、そして最近ではスープカレーが人気である。しかし、インバウンドの方々にはビーガンやベジタリアンも多く、宗教上の理由から特定の肉料理が食べられない場合もある。

 北海道にはジャガイモ、タマネギ、トウモロコシ、牛乳など、全国一の生産量を誇る農畜産物が数多くあるが、意外と知られていないのが豆類である。大豆は全国の40%以上、小豆やインゲン豆は90%以上の生産量があり、まさに北海道は豆王国なのである。

 豆にはタンパク質が豊富に含まれており、「畑のお肉」とも呼ばれる大豆では100グラムあたり33.8グラム、小豆やインゲン豆では20~22グラムと、いずれも畜肉に匹敵する量である。植物性食品では珍しく、必須アミノ酸のバランスにも優れている。

 また、タンパク質100グラムを生産する際に排出される温室効果ガス(二酸化炭素換算量)は、牛肉で49.89キログラムであるのに対し、豆類では0.84キログラムと、牛肉の60分の1しかない。畜肉に代わりうるタンパク源としての豆類は、栄養価に優れるのみならず、エコフレンドリーな食材なのである。

 しかし、わが国における豆類の加工利用については、しょうゆ・みそ・納豆などの発酵食品や、豆腐・油揚げなどの加工食品として利用される大豆を除いては、甘く味付けした煮豆や餡(あん)などの食形態が大部分である。世界的にみると、豆を甘く味付けするのはまれで、塩味やチリ味、トマトソース味などで食される場合が多い。甘くない豆料理は、世界的にはスタンダードなのである。

 硬めにゆでた小豆やインゲン豆は、トマト味やコンソメ味、クリームソース味など洋風の食べ方にもマッチする。中でも硬めの煮小豆とトマト味の相性は良く、ミネストローネスープなどは大変美味である。トマトなどの野菜に含まれるビタミンとミネラル、小豆に含まれるポリフェノールと食物繊維が合わさることで、私たちの体に必要な栄養素がすべて詰まった栄養満点の料理となる。

 肉類を食べられない方々にもおいしく食べていただける甘くない豆料理を提供することで、北海道の食材の魅力を再発見してもらえるのではないだろうか。食の多様化は、多様な食習慣の人々の満足度の向上につながり、新しい魅力の発見とともに観光の質の向上につながることが期待される。

 
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