JR東日本、36の事業本部体制へ大幅刷新


経営の「当たり前」を超えた抜本改革

 東日本旅客鉄道(JR東日本)は8日、コロナ禍後の経営環境変化に対応するため、2026年に組織体制と人事・賃金制度を大幅に改革すると発表した。現在の2本部・10支社体制から36の事業本部制に移行し、国鉄時代から続く人事・賃金制度を抜本的に見直す。地域に密着した事業運営とスピード感ある経営の実現を目指す。

 改革の中心となるのは、事業運営エリアの再編だ。現行の2本部・10支社から36の事業本部へと大幅に細分化。首都圏では東京、新宿、上野、品川、渋谷、池袋など駅ごとに事業本部を設置する。これによりきめ細かな地域密着型の事業運営を実現する狙いだ。

 組織体制も従来の3層構造(第一線の職場、本部・支社、本社)から2層構造(事業本部、本社)へと簡素化。本社機能は「グループ戦略部門」と「事業執行部門」に分化させ、36の事業本部が地域の経営基本単位となる仕組みだ。各事業本部は地域の実情に応じた輸送サービスや地域共創を担当する。

 人事・賃金制度も国鉄由来の仕組みを大きく変更する。毎年一律の「定期昇給」を廃止し、社員の業務への取り組みと成長、成果を反映する「職務能力給」を導入。昇給額は500円刻みで3,000円から5,500円の6区分とし、技術士や不動産鑑定士などの資格取得者には最大1万5,000円を加算する。

 「仕事に合わせたライフスタイル」という従来の考え方も刷新。労働時間・休日数を職種間で統一し、年間休日数を現行の114日から120日へ増加。年間労働時間も約86時間短縮する。さらに定年退職年齢を65歳に引き上げ、70歳までの再雇用制度も新設する。

 キャリア形成の多様化も進める。従来の「管理者」へのステップアップだけでなく、オペレーションの高度化を担う「テクニカルリーダー職」や研究・開発を担う「フロンティアスタッフ制度」など複線型のキャリアパスを構築。社員の活躍フィールドを拡大し、多様な働き方を支援する。

 新たな体制は2026年7月1日、人事・賃金制度は同年4月1日(一部7月1日)から実施する予定だ。同社はこれらの改革と並行して「変革2027」に代わる新グループ経営ビジョンを2025年夏に発表する計画だ。鉄道とモビリティに加え、生活ソリューションの二軸経営で強靭な経営構造の構築を目指す。

 
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