
日本航空(JAL)は2日、2025年3月期の連結決算を発表した。売上収益は過去最高の1兆8,440億円、純利益は1,070億円と前年比12%増を記録。好調な業績を受け、年間配当を1株当たり86円に増配する。
JALグループの2025年3月期連結業績は、売上収益が前年比11.6%増の1兆8,440億円、EBITが同18.7%増の1,724億円、純利益が同12.0%増の1,070億円となった。再上場後最高の業績を達成し、全セグメントで増収増益を実現した。
好調の主因は、インバウンド需要の回復と事業構造改革の進展だ。国際旅客事業では、訪日外国人客の増加に加え、日本発のビジネス需要も回復基調となった。この結果、国際線旅客数は前年比14.4%増、旅客収入は同11.9%増の6,963億円に達した。
一方、国内旅客事業も各種需要喚起策が奏功。第4四半期の有償座席利用率は過去最高水準の82.9%を記録し、通期の旅客数は前年比2.9%増、旅客収入は同3.7%増の5,715億円となった。
注目すべきは、航空事業以外の成長だ。マイル/金融・コマース事業のEBITは381億円と前年比10.0%増。JALカード決済額の増加に伴うマイル発行数の増加や、子会社JALUXの航空関連事業、空港店舗など幅広い事業展開が寄与した。
LCC事業も躍進した。ZIPAIRとSPRING JAPANの両社とも旺盛なインバウンド需要を取り込み、セグメント全体のEBITは前年の4倍以上の115億円に拡大。特にSPRING JAPANは中国発訪日需要の回復を背景に黒字化を達成した。
貨物事業も好調だ。国際線では高付加価値貨物の獲得を強化し、国内線でも新規需要開拓に努めた結果、増収を達成。さらに、外国航空会社便のグランドハンドリング受託増加なども業績に貢献した。
こうした全方位的な成長を受け、JALは期末配当を1株当たり46円に増配。年間配当は86円(配当性向35%)となる。
今後の展望について、JALは2026年3月期の連結業績予想として、売上収益1兆9,770億円、EBIT2,000億円、当期利益1,150億円を掲げている。事業構造改革と生産性向上をさらに推進し、増収増益を目指す方針だ。
具体的な施策としては、ガルーダ・インドネシア航空との共同事業開始や、成田=シカゴ線の新規開設、ハワイ路線の増便などを計画。また、ボーイング787-9型機10機、エアバスA350-900型機20機の新規導入を決定し、国際線の事業規模拡大を図る。
国内線でも、エアバスA321neo型機11機を2028年度から羽田発着路線を中心に投入するなど、需給に適合した機材更新を進める。LCC事業では、ZIPAIRが2030年代前半に向けて事業規模を現在の2倍以上に拡大する計画を発表した。
さらに、サステナビリティへの取り組みも加速。2025年5月1日より、廃食用油由来の国産SAF(持続可能な航空燃料)の使用を開始。2050年のCO2排出量実質ゼロの実現に向け、純国産SAFの開発にも着手している。