海外旅行の回復続く、HISの2025年3月取扱高が前年比110.4%


訪日旅行が147.5%増と大幅回復、桜シーズンが追い風に

 株式会社エイチ・アイ・エス(HIS)は4月30日、2025年3月の旅行取扱高状況を発表した。日本国内における旅行取扱高合計は、前年同月比10.4%増の380億1,637万円となった。海外旅行、国内旅行、訪日旅行のすべての区分で前年を上回る結果となり、特に訪日旅行の伸びが顕著だ。

海外旅行、夏休み需要の早期化で好調

 海外旅行の取扱高は、前年同月比8.4%増の299億3,041万円となった。夏休みの予約が早期化していることを受け、「夏の家族旅行キャンペーン」を例年より前倒しで展開。さらに、業界全体で海外旅行の完全回復を目指す「海外旅行拡大プロジェクト」に参画し、「新パスポート取得サポートキャンペーン」を実施した。

 方面別では、東南アジアが前年同月比15%増と伸びを見せた。特にシンガポールは学生・ファミリー層からの人気が高く、前年同月比36%増と好調だった。ハワイも3ヶ月連続で前年同月比二桁増と回復を見せており、特にデラックスクラスホテルのハイカテゴリー指定のパッケージツアーがファミリー・シニア層を中心に人気を博し、前年同月比16%増となった。

国内旅行、瀬戸内国際芸術祭2025に向けたキャンペーンを展開

 国内旅行の取扱高は、前年同月比11%増の60億3,983万円となった。3月14日より「瀬戸内キャンペーン」を実施し、3年に1度開催される「瀬戸内国際芸術祭2025」に向けて、中四国方面の国内旅行需要の獲得に努めた。

 取扱高では、引き続き沖縄方面が牽引。特に石垣島が前年同月比16%増と好調だった。また、航空券とホテルを組み合わせた「ダイナミックパッケージ」が、JALキャンペーンの効果もあり、前年同月比32%増と高い伸びを見せた。

訪日旅行、単月売上で過去最高を更新

 訪日旅行の取扱高は、前年同月比47.5%増の20億4,612万円と大幅な伸びを見せた。桜シーズンの訪日需要を獲得し、HIS訪日事業部における単月売上で過去最高を更新する好調な結果となった。

 特に、ヨーロッパのHIS現地法人からの受客が前年同月比78%増と高い伸びを見せ、取扱高を牽引。また、北米からの団体旅行の受客も好調に推移し、前年同月比25%増となった。

海外拠点の状況、インバウンドが好調も、アウトバウンドは苦戦

 HISの海外拠点における旅行取扱高合計は、前年同月比89.2%の262億2,136万円となった。インバウンド(各海外拠点における旅行受客業務)の取扱高は前年同月比11.1%増の120億5,261万円と好調だったが、アウトバウンド(各海外拠点における旅行送客業務)の取扱高は前年同月比76.4%の141億6,874万円と苦戦した。

 インバウンドでは、アジア、ヨーロッパで日本の春休みに合わせた学生やファミリー層向けの商品が好調だった。香港では香港ディズニーランド・リゾートとの共同プロモーションが奏功し、シンガポールでは大型インセンティブ旅行の受注が貢献した。

 一方、アウトバウンドでは、ハワイの日本行き桜鑑賞ツアーやブラジルの日系企業関連の渡航手配が増加したものの、取扱高を大きく牽引するカナダでの減少が響いた。

今後の展望と課題

 HISの2025年3月期の業績は、全体として回復基調にあることが明らかになった。特に訪日旅行の大幅な伸びは、インバウンド需要の本格的な回復を示唆している。一方で、海外拠点でのアウトバウンド事業の苦戦は課題として浮き彫りとなった。

 今後は、引き続き海外旅行の完全回復に向けた取り組みを強化するとともに、国内旅行や訪日旅行の好調を維持することが重要だ。また、海外拠点でのアウトバウンド事業の立て直しや、各地域の特性に応じた戦略の再構築が求められる。

 旅行業界全体としても、HISの業績回復は明るい兆しとなる。ただし、国際情勢の変化や為替動向、各国の入国規制の動向など、外部環境の変化には引き続き注意が必要だ。旅行需要の回復を確実なものとし、持続可能な成長につなげていくことが、業界全体の課題となるだろう。

 
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