宿泊施設関連協会がパネルディスカッション
宿泊施設関連協会(JARC)は、7月22日に東京都内で開いた「2019年度会員大会」で、パネルディスカッション「2020以降の各カテゴリー別ホテル戦略」を実施した。
同協会理事長で立教大学観光研究所特任研究員の玉井和博氏をコーディネーターに、三井不動産ホテルマネジメント・代表取締役社長の足立充氏、グランドニッコー東京台場・代表取締役社長兼総支配人の塚田忠保氏、パレスホテル東京・常務取締役総支配人の渡部勝氏の3人が登壇。「2020対応へのポイント」「2020以降のマーケット予測と事業戦略について」などを語った。
塚田氏は「当ホテルは競技場が集中するお台場に位置し、世界中の報道機関の拠点となるプレスセンターも東京ビッグサイトに置かれるため、オリンピック・パラリンピックの両方に関わっている。全882室の60%弱を東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に提供している。国際パラリンピック委員会のファミリーホテルにも指定されている」と話した。課題は「交通規制でお客さまだけでなく、従業員が到着できなくなること。緻密な情報収集をしながら体制を整えていきたい」と述べた。
渡部氏は「組織委員会に全面協力している。開催期間中は客室も宴会場もほぼ貸し切り状態となる。24時間体制で世界中のVIPをお迎えするため、本当の意味でのホスピタリティ対応が必要となる。スタッフの宿泊場所確保が課題だが、近隣のビジネスホテルにお願いをしている」と語った。
足立氏は「全国展開する三井ガーデンホテルズのうち都心の10ホテルの客室の半分程度を組織委員会に提供している。宿泊主体型ホテルのため、食事の提供能力という制約があり、残念ながら全てを提供することができない。11月22日に、オリンピックスタジアムの目の前に三井ガーデンホテル神宮の杜プレミアが開業するが大会運営関係者の宿泊先となる予定だ」と明かした。
20年以降のマーケット予測と戦略について各氏は次のように語った。
「当ホテルは全体の70%がインバウンドでうち65%が欧米客。定着している欧米のビジネス客には引き続き注力するが、単価を引き上げてくれるレジャー客、またアジア、中東、南米からのお客さまもバランスよく取り込んでいきたい」(渡部氏)。
「過去の五輪開催都市と同様で、2020年以降インバウンドが減ることはあり得ないと思う。五輪開催直前の7月14日にはお台場に東京国際クルーズターミナルがオープンする。競技会場のレガシーを活用したスポーツツーリズム需要にも期待したい」(塚田氏)。
「宿泊業の重要な要素の一つは『安心・安全』だ。ホテルの軒数を増やすと人材の確保が課題となってくるが、人的サービスを補完するためにICTを活用し、パーソナルなサービスは守っていきたい。従業員をしっかりと育てていくことが最も大事な戦略だと考えている」(足立氏)。
玉井理事長をコーディネーターに3人が意見を交わしたパネルディスカッション