観光庁はこのほど、宿泊旅行統計調査の2016年の年間値(速報値)を発表した。全国の宿泊施設の延べ宿泊者数は、前年比2・0%減の4億9418万人泊となった。内訳は日本人が3・5%減の4億2330万人泊、外国人が8・0%増の7088万人泊。宿泊施設の平均の客室稼働率(同)は前年同月比0・3ポイント減の60・0%だった。
日本人延べ宿泊者数は、ゴールデンウイークやシルバーウイーク(秋の連休)の日並びの悪さ、熊本地震、台風などが影響したとみられ、07年の調査開始以降で最高だった15年の実績(4億3846万人泊)を下回った。調査手法の変更があったため、直接比較が可能な過去6年間で見ると、4番目の実績だった。
外国人延べ宿泊者数は、訪日外国人旅行者数が2404万人に達したことで調査開始以来の最高値。全体に占める割合は14・3%だった。ただ、月別では8、10、11、12月が前年同月の実績を下回った。クルーズ船の観光上陸数の増加、統計で把握できない民泊の拡大などが影響し、訪日客数の伸びに連動しなかったとみられる。
延べ宿泊者数全体では、前年実績に対してマイナスが34都府県、プラスが13道府県。延べ宿泊者数の多い都道府県を見ると、東京都が3・2%減の5720万人泊、北海道が5・8%増の3448万人泊、大阪府が3・5%増の3142万人泊、沖縄県が10・6%増の2220万人泊、千葉県が4・5%減の2156万人泊だった。
主な地方ブロック別では、東北6県が7・4%減の3973万人泊、九州7県が5・0%減の5144万人泊。両地方ともに外国人は前年実績に対してプラスだが、延べ宿泊者数全体の下げ幅は全国水準の2・0%減より大きかった。
外国人延べ宿泊者数は、前年実績と比較して35都道府県がプラス、12県がマイナス。外国人延べ宿泊者数の上位では、東京都が2・8%増の1806万人泊、大阪府が14・4%増の1026万人泊、北海道が22・7%増の692万人泊、京都府が5・4%増の482万人泊、沖縄県が21・7%増の448万人泊。
外国人延べ宿泊者数は、三大都市圏(東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知、大阪、京都、兵庫の8都府県)が全体の約6割を占めるが、伸び率では地方部(三大都市圏以外)の方が高かった。三大都市圏は4・8%増の4243万人泊、地方部は13・2%増の2845万人泊だった。
市場別に上位を見ると、中国が3・3%増の1683万人泊で全体の26・3%を占めた。台湾は1・3%増の1062万人泊、韓国は15・7%増の780万人泊、香港は8・2%増の520万人泊、米国が14・3%増の434万人泊。
宿泊施設の客室稼働率は、施設タイプ別でシティホテルが0・5ポイント減の78・7%、ビジネスホテルが0・2ポイント増の74・4%、リゾートホテルが1・3ポイント増の57・3%、旅館が0・9ポイント増の37・9%、簡易宿所が1・3ポイント減の25・8%。
都道府県別の客室稼働率では、大阪府がシティホテル、ビジネスホテル、リゾートホテルのいずれもが80%を超えた。東京都、神奈川県、京都府はシティホテル、ビジネスホテルの両方が80%超え。千葉県はシティホテルとリゾートホテルが80%超え。埼玉県、石川県、愛知県、広島県、福岡県、沖縄県のシティホテルも80%を超えた。
旅館は、東京都の62・0%が最高で、以下は石川県が54・1%、大阪府が47・7%、神奈川県が47・5%、北海道が47・4%などだった。