15年度の旅館営業、大・中規模の売上高が増加


 日本旅館協会(針谷了会長)はこのほど、2015年度の会員旅館の営業状況に関する統計調査の結果をまとめた。旅館1軒当たりの総売上高は、宿泊単価の上昇などで大規模(100室以上)、中規模(31~99室)が前年度に比べて約15%の増加。小規模(30室以下)は宿泊単価が下降したが、宿泊人員が増え、総売上高が約3%増だった。前年の消費税増税の反動増があるとみられるが、全体として宿泊を取り巻く環境には好材料があり、総売上高の増加を受けて旅館の各種利益率も上昇した。

 15年は観光庁の宿泊旅行統計調査でも、全国の延べ宿泊者数が5億408万人泊で調査開始(07年)以来、過去最高だった。円安傾向に伴う海外旅行から国内旅行へのシフト、9月の大型連休、国の地方創生事業の「ふるさと旅行券」発行、北陸新幹線の開業効果、訪日外国人の増加などがプラス要因とみられる。

 日本旅館協会の調査の有効回答数は242軒。旅館の客室規模別の内訳が大規模35軒、中規模123軒、小規模84軒。大規模の回答数は前年度から15軒減少した。

 1軒当たりの総売上高は、大規模が14・7%増の21億2010万円。7年ぶりに21億円を超えた。中規模は14・8%増の6億9157万円で、12年度以降6億円台で推移しているが、7億円に近い水準に回復。小規模は3・4%増の2億71万円で、5年ぶりに2億円台にのせた。

 宿泊人員は大規模が0・8%減の9万4275億円と微減だが、中規模は14・1%増の3万4704人、小規模が9・3%増の9803人と増えた。定員稼働率は大規模が1・9ポイント増の40・3%、中規模が1・7ポイント増の36・8%、小規模が2・0ポイント増の35・8%といずれも増加した。

 宿泊単価(客1人当たり宿泊料売り上げ)は、大規模が20・9%増の1万6587円、中規模が5・7%増の1万4271円とプラスだったが、小規模が3・4%減の1万4050円とマイナスだった。

 営業収益の改善によって経常利益で黒字だった旅館の全体に占める割合は、11・7ポイント増の73・6%に達した。黒字の旅館は、大規模で80・0%、中規模で76・4%、小規模で66・7%を占めた。

 営業利益率は、大規模が2・6ポイント増の6・0%、中規模が1・9ポイント増の3・9%、小規模が1・9ポイント増の2・6%で、10年度ごろに底を打ち、改善傾向にある。GOP(同調査では、減価償却費と営業利益の合計が総売上高に占める割合)は大規模が1・2ポイント増の11・6%、中規模が0・5ポイント増の9・2%、小規模が0・9ポイント増の8・6%だった。

 旅館業の生産性向上の必要性が指摘される中、労働生産性(就業者1人当たり売上総利益)は、大規模が5・3%増の954万円、中規模が6・2%増の699万円、小規模が6・7%減の568万円だった。

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