日本生産性本部が7月30日に発表した「レジャー白書2010」によると、09年の余暇市場は前年比4.3%減少の69兆5520億円で、89年以来、20年ぶりの70兆円割れとなった。このうち観光・行楽部門は同9.4%減少の9兆4400億円で、88年以来21年ぶりに10兆円の大台を割った。一方、同年に国民が行った余暇活動の上位はドライブ、国内観光旅行、外食で前年までと変化はないが、ドライブが前年までの3位から1位に上昇。長く1位だった外食が3位に落ち込んだ。
市場規模が縮小した理由を白書では、リーマン・ショックによる景気低迷と新型インフルエンザの流行を挙げている。消費者の家計圧迫による節約志向や客単価の大幅な低下、顧客の選択志向の高まりが進んだとしている。余暇活動への参加人口が増えたものの、消費額が下がっている“需給のねじれ現象”も一部で起こったとしている。
余暇市場のうち、観光・行楽部門は前年比9.4%減少し、スポーツ部門、趣味・創作部門、娯楽部門など計4部門の中で、最も大きい減少率となった。
このうち旅館は1兆5850億円で、同10.0%減少。97年から13年連続で前年を下回った。ホテルは9760億円で、同6.0%減少。2年連続の前年割れで、95年以来、14年ぶりの1兆円割れとなった。
旅行業(手数料収入)は6660億円で、同2.8%減少。2年連続で前年を下回った。遊園地・レジャーランドは6230億円で、同2.7%減少した。前年から増加したのは貸し切りバスと乗用車整備費のみ。横ばいが鉄道だった。
一方、余暇活動への参加人口をみると、ドライブが6740万人で首位に立った。高速道路料金の値下げが追い風になったとしている。
2位は国内観光旅行(避暑、避寒、温泉など)で6390万人が参加。順位は前年までと変わらないが、参加人口は前年から370万人増加。白書では「主としてドライブや日帰り旅行に関する動きと思われ、宿泊旅行はいぜん苦戦している」と指摘。3位は外食(日常的なものを除く)の6370万人。長く続いた首位から陥落し、上位20種目で唯一、参加人口を減らした。
このほか観光・行楽系のレジャーでは、動物園・植物園・水族館・博物館が前年の10位から6位、ピクニック・ハイキング・野外散歩が17位から13位に上昇。「『安・近・短』の行楽が順位・人口とも大きく伸ばした」と指摘している。
将来の参加意向をたずねた参加希望率は国内観光旅行が80.9%で首位。以下、ドライブ60.8%、海外旅行55.7%の順で、上位3位に変動はなかった。4位の動物園・植物園・水族館・博物館を加えた上位4位が観光・行楽系で占めている。