
酒井国内旅行部長
KNT―CTホールディングス(HD)は12日、地域交流事業の拡大を行う商談会「第7回国内大交流コンベンション」を東京都江東区のホテルイースト21東京で開催した。同グループ社員や自治体など観光関係者ら約400人が参加。着地型観光の進捗(しんちょく)や二次交通新事業の紹介、商談会などを行った。
冒頭、KNT―CTホールディングス執行役員の酒井博国内旅行部長は「昨年から進める事業構造改革で、4月からは地域により根ざす『地域会社体制』とした。地域交流ビジネスを進化させる」とあいさつ。
コンベンションは、第1部がセミナーと講演、第2部が商談会を実施。セミナーでは、KNT―CTホールディングスの冨沢美津男地域交流部長が「着地型観光開発の展開」をテーマに同社が取り組む地域交流ビジネスを紹介。テーマ性の高い着地型商品のウェブ「旅ナカ」での販売状況や二次交通新事業について説明した。冨沢部長は「OTAとの差別化として、ウェブを活用した着地型商品の開発、販売を進めている。今後は、商品だけでなく、交通もセットとして売っていく」とウェブでの販売環境を整え、今年度中にダイナミックパッケージの形で着地型商品と交通をセットにした商品販売を進める方針を発表した。同社では、着地型観光開発センターを新たに立ち上げ、地域連携や商品開発を推進。旅ナカは現在約230の商品を扱い、来年には商品数を千にまで増やす方針だ。
二次交通新事業については、「広域観光の一番の課題は二次交通。17年度に観光庁から受託した北海道周遊観光バス事業をモデルとした観光地の二次交通対策、着地型観光開発を自主事業として推進する」と新たな事業について説明した。今年度は2エリアでバス事業を展開し、20年には、中部、山陰、九州、近鉄沿線など全国各地でのバスルートの形成を目指す。
このほか、講演として観光庁地域振興部観光資源課の太田雄也課長補佐が「日本の観光情勢および最近の行政の動向」、米国人ジャーナリストのアリス・ゴーデンカー氏が「外国人目線での地域観光の磨き上げ」をテーマにインバウンド情勢や外国人視点での日本観光についてなどを紹介した。
商談会では、同社グループ社員がブースを構え、地域関係者が観光地や商材などを紹介した。
地域交流事業を20年までに150億
第1部終了後、酒井部長、冨沢部長が囲み取材に応じた。コンベンションの開催について酒井部長は「今回で7回目。自治体の人からもっと話をしたいという意見を取り入れ、商談会の時間を長く設け、関係性を深めることができるようにした。今後は教育旅行、インバウンド、MICEなどを今まで以上に連携を深め推進する」と、マッチングから生まれる新たな展開に期待を寄せた。
地域交流事業の取り扱いについて冨沢部長は「これまでは、広告、旅行代理店含め、地域のPRをして一時的なムーブメントは起こすが、お客さまを送るモデルが足りなかった。今後は、クラブツーリズムのテーマ旅行などを生かして自社で送客するKNT―CT流で成果を出す。オリンピックは一つの契機となる。20年には取り扱い150億円を目指したい」と語った。17年度の取り扱いは85億円。18年度は115億円を目指す。
地域交流の推進を促す来年4月発足のKNT―CTパートナーズ会については、酒井部長は「三つの組織をベースに新しい組織を作る。会員数は約4千を目標とし、会員とともに地域連携、商品開発、販売を行い、DMOのような活動を行っていきたい」と述べた。
このほか、テーマ旅行の企画造成について、これまでは主に首都圏の造成部門が行っていたが、今後は地域で多品種少量販売の「ライトテーマ旅行」を増やしていく。
酒井国内旅行部長