JTB総合研究所、「日本アドベンチャーツーリズム協議会」設立


記者発表会に出席した関係者

 JTBグループのJTB総合研究所(JTB総研)は21日、自然・文化体験やアクティビティなどをアドベンチャーツーリズムとして推進する「日本アドベンチャーツーリズム協議会」を来年4月に設立すると発表した。阿寒アドベンチャーツーリズム(北海道釧路市、大西雅之社長)、長野県観光機構(長野市、野原莞爾理事長)と連携して立ち上げる。欧米豪などからの誘客に生かし、地方での長期滞在、消費の拡大につなげる。

 アドベンチャーツーリズム確立への機運が高い地域の団体、企業などを会員に構成。JTB総研内に事務局を置く。国際的な機関、アドベンチャー・トラベル・トレード協会(ATTA)のシャノン・ストーウェルCEO、ジェイク・フィニフロックアジア地区部長をアドバイザーに迎える。

 アドベンチャーツーリズムは、ATTAの定義によると、「アクティビティ、自然、異文化体験のうち二つ以上の要素で構成される旅行」を指す。参加者の中心は富裕層で、北米、欧州、南米の市場規模は年間4500億ドル(約49兆円)と試算されている。

 日本のアドベンチャーツーリズムの市場規模は、JTB総研の推計で年間2.3兆円(うち旅行関連1.2兆円、アウトドアギア関連1.1兆円)だが、日本固有の自然・文化資源を生かした商品開発、受け入れ態勢整備などが進めば、成長性は高いとみられる。

 協議会に参加する阿寒アドベンチャーツーリズムは、関係機関とともにアドベンチャーツーリズムのマーケティング戦略を策定。来年には、アイヌの文化や神話をモチーフにデジタルアートを駆使した夜の森での体験プログラム、阿寒湖のマリモの生息地を訪れるガイドツアーなどを本格的に展開する予定。長野県観光機構は、中山道のトレイルをアドベンチャーツーリズムとして位置付け、欧米豪からの誘客強化を目指している。

 協議会の主な事業内容は、地域の観光関係者などを対象にしたセミナーの開催、コンサルティングの実施、ガイド事業者への支援、安全管理などの認証サービスの提供のほか、海外へのプロモーションなどを計画。ATTAの年間最大のイベント「アドベンチャー・トラベル・ワールド・サミット」の日本への誘致も目指す。

 東京都内で開かれた記者発表会でJTBの髙橋広行社長は「アドベンチャーツーリズムの推進によって持続的な地域活性化に貢献していく」。JTB総研の野澤肇社長は「アドベンチャーツーリズムに取り組む関係者の連携の場として、全国にネットワークを構築したい」と語った。

 記者発表会には、ATTAのストーウェルCEO、阿寒アドベンチャーツーリズムの大西社長、長野県観光機構の内田孝雄常務理事・事業統括本部長が出席。観光庁の平岡成哲観光地域振興部長も同席し、体験型観光を通じた訪日外国人旅行者の地方での消費拡大などに期待を寄せた。


記者発表会に出席した関係者

 
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