
日本旅館国際女将会(会員数36人、須賀紀子会長=登別温泉滝乃家女将)は18日、グランドプリンスホテル高輪・貴賓館で年次総会を開いた。総会後の勉強会ではホテル松島大観荘(宮城県)の磯田悠子女将が、震災直後の状況を報告した=写真。
高台に位置する大観荘は建物の大きな損傷は免れたものの、地域住民が続々と避難。宿泊客と合わせて350人程度が、電気、水道の止まった状態の中、避難生活を送る事態となった。社員約100人も帰宅できなかった。コンベンションホールと大宴会場にありったけの布団、毛布を運び込み全員が寝泊まりした。トイレは大浴場の近く1カ所に限定。トイレ係に社員をはり付け、大浴場の水で流した。ブライダル用のろうそくで灯りをとり、プロパンガスを使い野外で調理した。同館では社長が「社員は1人も解雇しない」と宣言。4月2日には一般客の受け入れを開始した。
今期は2年に1度の役員改選期だったが、旅館業界は震災の影響が大きいため、改選による新任役員の負担増を考慮。須賀会長と、矢口委子副会長(岬館女将)、松本美代副会長(坐漁荘女将)、若松佐代子副会長(新つた女将)、榎本眞規子副会長(三河屋旅館)は暫定的に1年間留任とした。
また、毎年9月に実施する和服姿で世界各国を訪れ、現地マスコミや旅行会社に日本の旅館と温泉文化をPRするイベントは中止する。
