
全国産業観光推進協議会(事務局・日本観光振興協会)は「産業観光まちづくり大賞」を決めた。6回目となる今回は3団体が受賞し、金賞には山形県の酒田市・酒田観光物産協会・酒田商工会議所が選ばれた。表彰式は11日、長野県岡谷市で開かれた「全国産業観光フォーラムinおかや」で行われた。
同賞は産業観光による観光まちづくりを実践し、他の地域の模範となる優れた事例を表彰する制度で、07年度に創設。産業観光に取り組む自治体や観光協会、NPOなどを対象に幅広く募集し、(1)受け入れ側と訪問側双方にメリットがあるビジネスモデルになっているか(2)継続性があるか──を主な評価の視点として審査する。
酒田市には年間約70万人が訪れる、市を代表する観光施設「山居倉庫」=写真=(12棟)があるが、市はこのうち2棟を取得し、観光物産館「酒田夢の倶楽」として整備、観光案内所としても活用している。また、北前船や西回り航路で栄えた歴史もあり、中心となった酒田港周辺には「さかた海鮮市場」や「酒田みなと市場」が整備され、年間80万人以上が訪れる観光エリアとなっている。
観光振興に関しては、温泉街がないことを逆手に、地元の旅館・ホテルや料亭、洋食レストランなどと協調し、泊食分離型の観光を打ち出すと共に、市街地観光推進のため、無料の「観光自転車」を市内に約160台配置し、宿泊施設などで貸し出している。年間利用者は約1万3千人。
(1)山居倉庫など特徴ある歴史資源を丁寧に保存し、活用する意識が市民にも浸透しており、顧客満足度が高い(2)地場産業──を中心としたまち歩きだけでなく、港エリアや離島飛島、鳥海山麓などを結ぶ広域観光ルートの設定などに取り組んでおり、商品力が高いなどが評価され、金賞受賞となった。
銀賞は熊本県天草市、特別賞は岐阜県のみたけ華ずしの会が選ばれた。
天草には「天草陶石」と呼ばれる上質の陶石が採れ、有田焼や清水焼など全国の有名な窯元をはじめ、宇宙船の断熱材としても使われている。市は窯業の発展と天草陶磁器のブランド化を通じた観光振興に努めており、「天草大陶磁器展」などとして成果が表れている点が評価された。
