栃木県日光市の川治温泉一柳閣本館(石島節子社長、資本金1600万円、従業員約80人)は7日、東京地裁に自己破産を申請、同日破産手続きの開始決定を受けた。帝国データバンク(DB)によると、負債総額は約50億円。川治温泉で最大規模を誇る施設の突然ともいえる破たんで、温泉街全体の地盤沈下を懸念する声も少なくない。
今後は旅館事業の継承を目的に、スポンサー企業を探す意向だ。
帝国DBによると、同館は1934年創業。温泉街中心部に立地し、度重なる増築で規模を拡大した。100室を超える客室や宴会場、大小会議室を完備し、01年11月期には売上高約11億3千万円を計上していた。
しかし、バブル崩壊後は団体客数や宴会の減少などで業績は低迷、借入金固定化に伴う金利負担の圧迫で、収益面では毎期欠損を計上。また、メーンバンクである足利銀行の一時国有化や金融債務の整理回収機構(RCC)への移管などで状況はさらに悪化した。
各種プランを打ち出し集客に努めていたが、06年11月期の売上高は約10億円に減少、財務面でも大幅な債務超過に陥っていた。昨年12月に登記面本店を東京都内に移し、今回の措置となった。
同館は6日まで通常に営業しており、突然の出来事だった。