東商が観光庁に要望書を提出 ツーリズムの基幹産業化に向けて観光予算の拡充などを要望


要望書を受理する村田長官(左)と、田川委員長

要望書を受理する村田長官(左)と、田川委員長

オーバーツーリズム対策も認識を共有

 東京商工会議所(東商)は23日、観光庁の村田茂樹長官を訪問し、東商のトラベル&ツーリズム委員会(委員長=田川博己副会頭)が取りまとめた要望書「ツーリズムの基幹産業化実現に向けたわが国への重点要望」を提出した。提出後には懇談の場が設けられ、田川委員長が概要を説明。オーバーツーリズム未然防止の徹底や、観光予算の財源確保の必要性を訴えた。

 今回提出された要望書は、「重点要望項目」「継続要望項目」の二つで構成されている。

 重点要望項目には、①人手不足への対応と次世代を担う人材育成強化②ツーリズム関連消費の拡大③集中から分散へのシフトによるオーバーツーリズム未然防止の徹底④観光予算の財源確保―の4点が盛り込まれた。特に観光予算の財源確保については、一般財源から観光庁当初予算への割合増加、国際観光旅客税の在り方や使途の見直しに向けた議論の加速を要望した。

 継続要望項目には、①ツーリズムの持続可能な発展に向けた受け入れ環境整備②国際文化都市東京の実現③交流人口(相互交流)の拡大―の3点を掲げた。地方部における「住んで良し・訪れて良し・働いて良し」のツーリズム実現に向けた意識醸成や被災地復興支援の体制整備に加え、東京でのナイトタイムエコノミー活性化による消費拡大、歴史・文化の保存と継承、魅力発信強化も要望した。

 懇談後、記者団の取材に応じた田川委員長は、オーバーツーリズム未然防止と観光予算の財源確保が従来の要望からの変更点だと説明した。

 観光予算の財源確保については、補正予算や国際観光旅客税で観光予算の多くを賄っている現状に危機感を示した。コロナ禍のような非常事態に安定的な予算確保ができなくなる懸念を村田長官にも説明したと報告し、「基幹産業化を求めるのであれば(一般財源からの当初予算割り当ての拡充は)必要だ」と主張した。

 オーバーツーリズムについては、「地元住民の生活が難しくなることと、混雑緩和への政策は分けて考えるべきだ。(観光庁にも)そこを分けて取り組んでもらいたい」とコメント。広域での周遊型観光の重要性についても言及した。

 田川委員長は、2年後に横浜市で開かれる「2027年国際園芸博覧会」についても村田長官からコメントがあったと報告。「国際園芸博覧会で関東に人流を創出し、海外からも人を呼び込む。(観光庁でも)まもなく準備に入ると思う」とし、観光の起爆剤としての可能性に期待を示した。

要望書を受理する村田長官(左)と、田川委員長
要望書を受理する村田長官(左)と、田川委員長

 
 
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