
東北の復興支援へ桜を題材に観光客を誘致しようと、行政や観光業界、信用金庫業界が「東北・夢の桜街道推進協議会」を組織し、東北の桜の名所88カ所を巡る「桜の札所・八十八カ所巡り」プロジェクトを推進している。
4月21日はプロジェクトの一環で、「“美しき桜心の物語”の語り会」と題するイベントを福島県三春町の桜の名所、三春滝桜で開いた。元NHKニュースキャスターで、語り部の第一人者、平野啓子さんが、ライトアップされた滝桜の前で瀬戸内寂聴さん原作の短編小説「しだれ桜」を朗読。滝桜の見事な枝ぶりと平野さんの絶妙な語りに200人の聴衆が酔いしれた=写真。
イベントは協議会と三春町、東京、山形で桜を活用した地域づくりに取り組む「美しい多摩川フォーラム」「美しい山形・最上川フォーラム」が主催した。
両フォーラムは東日本大震災でダメージを受けた東北の復興支援へ、東北の桜に着目。88カ所の「桜の名所」を選定した。一番から八十八番までの番号を付け、観光客に順番に回ってもらうよう、マスコミや旅行会社とタイアップしてPRに努めている。また推進体制強化のため、両フォーラムと東北6県、東京都、旅行会社、全国信用金庫協会などで組織する「東北・夢の桜街道推進協議会」も発足させた。
今回は「一番札所」の三春滝桜でイベントを開催。マスコミや航空会社の機内誌、JRの車内誌などで来場者を募集し、全国から約200人が集まった。
協議会の細野助博会長は「東北の復興のお手伝いをさせていただきたい。そのスタートが今日のイベントだ」とあいさつ。三春町の鈴木義孝町長は「皆さんを心から歓迎する。私たちは震災に負けないと、復興に向けてがんばっている。今後ともご支援を」と述べた。
美しい多摩川フォーラムの宮坂不二生事務局長(青梅信用金庫特別アドバイザー)は「イベントは来年、宮城県または岩手県で行い、東北6県を順番に回っていきたい。イベントと八十八カ所巡りが注目され、東北に多くの観光客が訪れてもらえれば」と話している。
