
国土交通省はこのほど、地域づくりの優良事例を表彰する「地域づくり表彰」について、2020年度は8件が受賞したと発表した。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、表彰状の授与は感染リスクの少ない形で各地で行う。
20年度は従来の「地域づくり部門」に加え、複数のサービス機能の集約・維持を図る取り組みを対象とした「小さな拠点部門」を設けた。全国から41件の応募があった。
国土交通大臣賞(最優秀賞)のうち、小さな拠点部門は那須まちづくり株式会社(栃木県那須町)、地域づくり部門はRENEW実行委員会(福井県鯖江市)が受賞。
那須まちづくりは18年設立。廃屋小学校を「那須まちづくり広場」として再生し、地元野菜や加工品の販売、牛乳を使ったミルクバーの製造などを行っている。毎月20以上のセミナーやイベントを開いて地域おこしに貢献、総合学習の時間などで小中学校との連携も進んでいる。
さまざまな生活サービスをコンパクトにまとめ、地域交流の場とするだけでなく、新しい活動やグループを生み出す場へと成長させたことが高く評価された。
鯖江市は眼鏡などモノづくりが盛んだが、近年は出荷額が落ち込んでいるという。事態を挽回するため、消費者に産地を訪れてもらい、工房見学を通じた地域ブランディング化などを図ろうと、15年から工房開放イベント「RENEW」を開催している。
RENEWでは丹南エリアの地場産業に携わる企業や工房を3日間にわたり一斉開放し、工房見学やワークショップを実施。
15年の開催当初は出展22社、来場者1200人だったが、18年には110社、3万8千人、売り上げ2100万円と国内最大規模の工房イベントに成長している。