古屋旅館(静岡県熱海市)はこのほど、館内の大浴場や客室露天風呂に供給している温泉タンクを増設した。館内温泉施設への安定供給に加え、災害時の生活用水確保に努める。
同館では、客室露天風呂のニーズの高まりに応えるため、順次リニューアル工事を進めている。2022年11月には、新たに室内露天風呂付き客室が完成。現在は四つの温泉大浴場のほか、全26室のうち20室に完全掛け流し式の露天風呂・温泉風呂を備えている。
これまでの温泉タンクの貯蔵量は3万リットルで、全客室と大浴場への供給に十分対応できていたが、今回の増設により6万5千リットルの備蓄が可能となった。これにより、機械トラブルが発生した場合でも、宿泊客に影響を与えることなく温泉の供給ができるようになった。また、現在露天風呂のない6室についても、将来的に温泉設備付き客室への転換に対応できるようになっている。
災害による周辺地域の断水に備え、入浴や洗顔、トイレ排水など飲用を除く生活用水としての備蓄も想定している。タンク満水時の6万5千リットルは、3千リットルの給水車約20台分、トイレ排水約1万3千回分に相当し、温泉タンクの湯温は80度前後を保ち、1日にわずか2度程度しか低下しない高い保温性を備えているのが特徴だ。緊急時には、宿泊客だけでなく、近隣住民への給水にも対応している。




