原発事故の風評被害、4県の観光業に賠償 原子力損害賠償紛争審査会が中間指針


 原発事故に関する政府の原子力損害賠償紛争審査会は5日、損害賠償の基本的な目安となる中間指針をまとめた。観光業の風評被害では、福島県に加えて茨城県、栃木県、群馬県の事業者の損害を賠償の対象として認めた。さらに外国人観光客のキャンセルによる損害は全国の事業者を対象とした。中間指針を受けて東京電力は、賠償額の算定基準などの詳細を詰め、9月中に請求の受け付けを始める。

 中間指針は、観光業の風評被害として、福島県など4県に営業拠点を持つ旅館・ホテルなどの観光事業者が受けたキャンセルや予約控えなどによる減収を損害と認定。外国人観光客の場合は全国の事業者が対象だが、各国が渡航制限を緩和した時期などを理由に5月末までに期限を区切って、キャンセルによる減収を対象とした。

 一方で外国人観光客の予約控えによる損害は明確化されていない。中間指針は、観光業の風評被害にはさまざまな要因があり、損害の判断にあたっては「個別、具体的に判断せざるを得ない」と指摘した。例えば、4県以外の事業者でも原発事故との因果関係があれば、賠償の対象になると認めている。

 東京電力は原子力損害賠償制度のもとで本補償を早期に進める。算定基準などを今月下旬に示し、9月に請求の受け付けを開始、10月からの支払い開始を目指す。

 観光業の場合、旅館・ホテルなどの個々の事業者の請求を地域単位などでまとめて提出するケースが多いとみられ、業界団体や地域の観光組織などで手順の調整が必要となっている。また、風評による損害を裏付ける書類の要件などにも注視する必要がある。

 
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