帝国データバンクはこのほど、全国企業対象の景気動向調査の2月分を公表した。同月の景気DI(0~100、50が判断の分かれ目)は前月比0・2ポイント増の45・4と、2カ月ぶりに改善した。「国内景気は好調な自動車関連や機械製造などにより製造業が改善したことを受けて、回復傾向が続いた」と同社。業種別では旅館・ホテルが同2・1ポイント増の45・6と、2カ月ぶりに改善した。
10の業界別では、7業界が改善、3業界が悪化した。
このうち不動産は同0・6ポイント増の49・9と、4カ月連続で改善。「オフィス市況の改善や訪日観光客の宿泊需要を背景に地価の上昇が地方都市へと広がりを見せる中、事業用物件の供給が上向いている。さらに、東京五輪の開催に向けてホテル稼働率の向上や新規オープンが増加した」。
サービスは同0・3ポイント増の49・1と、6カ月連続で改善。15業種の中で、旅館・ホテルほか、情報サービスなど9業種が改善。飲食店、娯楽サービスなど6業種が悪化した。
ほかに改善したのは農・林・水産、建設、製造、小売、その他の各業界。
悪化は金融、卸売、運輸・倉庫の各業界。運輸・倉庫(同1・2ポイント減の43・8)は継続的なドライバー不足に伴う人件費の上昇、最低賃金引き上げや労働時間規制の強化などが重なり、収益力の悪化が見られた。
10の地域別では7地域が改善、3地域が悪化した。
このうち九州は同0・9ポイント増の49・0と、9カ月連続で改善。観光客数が徐々に増加する中で、旅館・ホテルが同2・8ポイント増と、4カ月ぶりに改善した。
改善はほかに、北海道、南関東、東海、近畿、中国、四国。悪化は東北、北関東、北陸。
規模別では、大企業が同0・1ポイント増の48・3。中小企業が同0・2ポイント増の44・6。小規模企業が同0・6ポイント増の44・1。2カ月ぶりに全規模がそろって改善した。
企業の景況感に関する主な声は次の通り。
「レジャー、ビジネス関連ともに、年初より好調な需要動向となっている」(現在、良い、自動車賃貸)。
「良いと悪いが混在しており、企業の選別傾向が続いている」(現在、どちらでもない、経営コンサルタント)。
「東京五輪に向けて、インバウンドを取り込むための観光業界の設備投資が期待できる」(先行き、良い、配管工事用付属品製造)。
「円安傾向で燃油サーチャージの復活などがあり、海外旅行にはマイナスが多い」(先行き、悪い、一般旅行)。