
専門スキル向上、人手不足解消目指す
スキマバイトサービス「タイミー」を提供するタイミー(東京都港区)は、グランドニッコー東京ベイ舞浜(千葉県浦安市)協力のもと、28日にタイミー利用者を対象とする「ホテル宴会サービススタッフ研修会」を開催した。今回の研修会開催までの経緯や研修内容から、スポットワーカーの専門的スキルの向上、ホテルをはじめとする宿泊業界の人手不足解消に向けた同社の取り組みを紹介する。
宴会サービス業務就業機会拡大へ
これまでもタイミー上では、宴会サービススタッフの仕事を掲載していたものの、その難易度の高さから専門的スキルを要するため経験者限定の求人となっていた。コロナ禍収束に伴う旅行需要回復期を迎え、宿泊業界の人手不足がより顕著になる中、同社はより多くのワーカーに専門的スキルを身に付けてもらい、就業機会の間口を広げていくために今回の研修会を実施した。
会場となったグランドニッコー東京ベイ舞浜は東京ディズニーリゾートと同エリア内にあり、大規模な会場での宴会実績が豊富で、個人に加え修学旅行などの団体顧客の受け入れに関してのノウハウを有する。
鈴木氏によるテーブルクロス敷き。敷く際の基準となる線の説明など、未経験者にも理解しやすく伝える
「聖餐」業務で実践的な研修
今回の研修は、「聖餐」と呼ばれるフルコースサービスの提供ができるようになることを目的に実施された。研修内容は「身だしなみ・心得」についての聴講から始まり、宴会前のテーブルクロス掛け、客前でのホテリエとしての力量が問われるトレイサービスなど多岐にわたる。
講師は同館料飲部サービスマネージャー・鈴木敏夫氏を含む同館スタッフが務める。業務の概要説明は当然だが、今回の研修では各業務のかなり細かい部分まで参加者に伝える。「グラスは何回も置くとクロスに跡が残ってしまうので、1回で置くように」「トレイからタンブラーを提供する際には、トレイを支える小指に少し角度をつけてバランスを取る」「パーティーでは場内が騒がしくなり、お客さま同士があいさつのために急に立ち上がることもあるので、確認のお声掛けをしながらグラスをテーブルに置く」などの鈴木氏のアドバイスは、現役ホテリエならではの実務的なものだ。
クロス敷き、テーブルセッティング、サーブに関する各サービスについて、実践練習の時間を多く割いているのも同研修会の大きな特徴の一つ。各参加者が講師からの指示に耳を傾けながら作業する姿は、さながら社員研修の様相を呈する。「『スピーディーに』が基本だが、お客さまの安全を第一に」との鈴木氏のアドバイスでトレイの持ち方を確認した後、テーブルや什器の片づけをして閉会した。鈴木氏は「一度実践で練習してもらうことで業務のイメージができ、皆さんそれぞれ改良点を感じられる。それがホテルとしてサービス向上につながっていく」と期待を寄せる。
同研修を受講した28人は、研修終了後に同館で掲載されている9月の求人に申し込んだほか、今後は他の施設での宴会サービススタッフの求人への申し込みが可能になる。参加者からは「ホテルスタッフの仕事に興味があった。今回の研修を受けて実務を学び、実際に業務に携われるのが楽しみだ」「ホテルスタッフとしてのスキルを身に付けることができ、応募できる仕事の幅が広がるのでうれしい」などの声が上がった。
「単なる短時間労働ではなく、各スタッフが今後も各所で使えるようなスキルや資格習得に寄与したい」とタイミー担当者。同社は各業界の人材不足解消と同サービス利用者のスキルアップに向けた取り組みを今後も継続する方針を示している。
テーブルセッティング(上)から皿の効率的な持ち方まで、参加者はプロから本格的なレッスンを受ける