
JATAの髙橋会長(写真右)が再発防止策を観光庁の髙橋長官に提出した
自治体からの受託事業に関わる不正請求など、旅行会社で相次いだ不正事案について、日本旅行業協会(JATA)は27日午前、法令順守に関する研修の充実、会員企業の業務管理体制の整備などを盛り込んだ再発防止策を観光庁に提出した。髙橋広行会長が観光庁を訪れ、再発防止について髙橋一郎長官に報告した。
旅行業界ではコロナ下において、自治体の受託業務に絡む過大請求、雇用調整助成金の不正受給などの事案が相次いだ。観光庁は23年5月、JATAに対して法令順守の徹底を求めたが、その後も、自治体の受託事業に関して大手旅行会社5社が公正取引委員会から談合の疑いで立ち入りを受けた。
JATAは、観光庁の指示を受け、弁護士などの外部専門家による有識者委員会を設置し、対策を検討。委員会の提言を踏まえ、不正根絶に向けた再発防止策をまとめた。JATAの髙橋会長は「会員各社に周知徹底を図るとともに、私自らも先頭に立って不正事案の根絶に努めていく」と述べた。
報告書は、不正事案が相次いだ背景について、旅行業とは異なる受託事業の契約上の特性や注意点に関する認識・知識不足 不正を防止する業務管理体制の不備などを指摘。JATAでは、研修の拡充、意識・風土改革、会員企業における不正を防止する業務管理体制の整備などを推進する。
観光庁の髙橋長官は「今回の事案は直接、旅行業に関わる事案ではないが、国民からの信頼を失墜させたことは非常に重大だ。このコンプライアンス順守策を徹底的に会員企業に実行してもらうべく、会長としての責任をしっかり果たし、会員企業を指導していただきたい。観光庁としても厳しく監督していく」と述べた。
JATAの髙橋会長(写真右)が再発防止策を観光庁の髙橋長官に提出した