日本全職業調理士協会(職調協)会長 山本敏雄氏
調理師会の課題と今後
協会会員の拡大が不可欠 経営者は調理場と対話を
日本全職業調理士協会(職調協)の会長に昨年6月、山本敏雄氏(大京会調理士紹介所代表取締役)が就任した。片山津温泉(石川県)で幼少期を過ごし、小学3年生から旅館の調理場を手伝ったという山本会長に調理師(士)界の課題や旅館料理の魅力向上についてのアドバイスを聞いた。
──協会の概要について説明してほしい。
「厚生労働大臣の許可を得て調理師紹介事業を営む民営職業紹介事業者と、調理師で組織する調理師会の代表者および一般調理師、ほか協会の趣旨と事業に賛同した人を代表会員、通常会員、準会員とする厚生労働大臣認可の社団法人だ。国から許可されて調理師の紹介を行っている民間職業紹介所が、適正な事業を行うための指導や法令示達の徹底ほか、職業調理士の技能向上と食生活改善のため、料理講習会『日本料理セミナー』を1月と8月を除いて毎月実施している」
「また、地域の特性を生かした食材の研究開発と調理法の有効活用による企業の繁栄と観光産業の振興に資するため、昭和55年から毎年『日本料理技能向上全国大会』を開催してきた。厚生労働、農林水産、国土交通、文部科学、経済産業の各省ほか、開催地都道府県の後援許可をいただき、優秀な作品に対して各省の大臣賞と知事賞を付与して調理師の資質と技能の向上を図るとともに、志気を作興するための活動をしている。大会は今年で31回目を数え、毎回、飲食、旅館、観光業界団体をはじめ、調理関係の全国公益団体から協力名義と団体長賞の交付をいただき、さらに有意義な大会にさせていただいている」
「現在、組織としては全国に160支部、会員数はおよそ6千人で運営している。支部会員の中には、観光地のホテル・旅館などの観光業に就業している人も多数おり、関係業界各位には日ごろから大変お世話になっていることに感謝申し上げたい」
──協会や調理師界全体が抱える問題点と、その解決策は。
「現在の景気、雇用など経済環境を反映し、各地で働く調理師は従来と違った生活環境を強いられており、今まで経済的、時間的に余裕のあった生活から一転して、厳しい状況に立たされている。このため、居住地の調理師会組織や、私ども協会の会員として継続が困難な人たちが増加し、やむなく組織から離脱する調理師が増えている」
「団体として事業を行うためには、何といっても多数の会員が加盟し、大きな組織で会員が力を合わせて活動しなければならないわけだが、それが段々と縮小せざるを得ない状況になってきている。打開策を講じているが、何といってもそれぞれの生活が豊かにならなければ、どうしようもないといった状況だ。このインタビューを通じて、観光業を営む経営者の皆さまとともに意識を共有して、いっそう努力していきたいと思っている」
──料理の魅力向上へ、旅館経営者や調理師にアドバイスを。
「料理に携わる者には、まず礼儀を大事にせよと言っている。『おはようございます』『ありがとうございました』というあいさつ。あいさつから人との対話が始まり、引いては利を生むことになる。お客さまの中には、全国の店を回ったり、本当に料理に詳しい方がいらっしゃる。お客さまとの対話から学ぶことがある」
「経営者は調理場とのコミュニケーションが大切だ。調理場とのキャッチボールの中で、適正な原価率とおいしい料理が生まれてくるし、社内全体の雰囲気も良くなってくる。調理場から元気を出して、社内のみんなが生き生きと仕事ができるよう、努めていただきたい」
【やまもと・としお】





