
マネーパートナーズグループ社長・奥山 泰全氏
マネーパートナーズの観光事業
通常業務との親和性高く 会社の認知度拡大を期待
──外国為替証拠金取引(FX)業界大手で知名度もある御社が、観光業界に進出した理由は。
「FXは、限定された層にしか浸透していないという背景からだ。国内では約300万人で40人に1人という状況。一方で、株式投資家は1200万人、10人に1人ぐらいだ」
「当社は(海外専用プリペイドカードの)マネパカードを発行している。パスポートを持つ(日本人の)方が約3千万人、海外旅行に行かれる人は株(取引)人口より多い。海外で外貨両替をしたことがある人に、普通に受け入れてもらえるサービスを提供できれば『マネーパートナーズ(マネパ)という会社が外国為替の会社』ということが浸透すると思った」
「東京・浅草での外貨引き受けサービスでは、外国人だけではなく日本のお客さまが店頭で『外貨で買い物ができる』と(の告知を)見れば、それを手掛けているのがマネパだと気付き、当社の認知度の拡大につながる。つまり、当社が外国為替の会社だという認知度をより一層広め、小売店を通じて当社をご利用いただく機会を作れば、当社の存在感が高まり、当社のお客さまが増えていく」
──通常業務が観光との親和性が高いということ。
「そうだ。当社は証券会社でもあるが『株式って何かに使えるのか』という素朴な質問がある。証券は電子化されているので、株券としてもらうこともできずちり紙にもならない。株式投資家の多くは権利行使ができる(発行済み株式の)51%を持たず、資産運用のために値上がりや配当を狙う。つまり、株式は他に利用用途がない」
「しかし、外貨は外国で利用できる通貨だ。外貨両替は投資取引ではなく、一般の人が普通に利用する手段。『この会社に口座を作っておこう』と思っていただければ、われわれの裾野も広くなるし、サービスの幅も広くなる。利用シーンや決済手段を増やすこと自体が観光に通じていく」
──日常で使うことが観光分野につながると。
「外国為替を取り扱うことで旅行・観光につながる。利用シーンを増やしたい。結果として旅行であったり観光であったり、外貨を扱っている関係で意味が同じになる。同軸上に乗ってくるということだ」
──浅草の外貨引き受けサービスの評価は。
「地域貢献とかCSR(企業の社会的責任)活動の一環との位置付けで構わない。外国人がお店に何気なく入るきっかけになれば」
──今後、東京・日本橋でもサービスを検討しているとのことだが、サービス開始時期や他地域への拡大の見通しは。
「日本橋は年内に開始できる。他地域では、浅草に隣接するかっぱ橋(東京都台東区)でも、サービスを利用いただいている。現在、各自治体や商店街、スキー場、その周辺の店舗で使いたいなどの問い合わせが来ている」
──マネパカードのサービス開始は早かった。
「海外専用プリペイドカードの発行については、2010年から検討してきた。当社はお客さまから多通貨の残高をお預かりしている。『お客さまが残高の外貨を海外で使えるようにできないか』ということを思っていて、(クレジットカードと異なり)100ドル使ったら100ドルそのまま引き落とされるようなサービスを考えていた」
──(マネパカード事業で)大和ネクスト銀行と提携する理由は。
「当社と異なる層のお客さまを、当社のサービス利用顧客に含めていきたい。会社が違えば顧客層は違うのですみ分けができる。大和ネクスト銀行は外貨預金のお客さま。(当社の)FXで投資したいというお客さまとは少し違う。外貨預金のお客さまが『カードが発行されていて普通に海外で使うことができる』と思うのなら、大和ネクスト銀行にとっても顧客の囲い込みになるし便利だ」
──旅行会社や旅館ホテル、観光諸団体など観光事業者との提携について。
「当社はFX会社であり、普通の外国為替交換・両替業者でもある。外貨に関して何か取り組みを強化したいと思っている皆さまからのご相談に応じたい」
「暗号通貨(仮想通貨、ビットコインなど)についても知識を高めている。当社は最も先進的に(導入を)検討している金融機関だ。自社のポイント、地域振興券に類するものとか、そういったもののデジタル化や交換手段模索みたいなところで少しお話ししたい、先のことを考えたいというところから話をいただくことは大歓迎だ。(観光分野で)外貨やお金に絡むところで『マネパなら何とかできる』と思ってお声掛けいただければと思う」
※マネーパートナーズ外貨サービス営業部TEL03(4540)3967
【おくやま・たいぜん】
慶大商卒。ベンチャー企業や会計事務所、証券会社の顧問や取締役などを経て、2006年8月にマネーパートナーズ代表取締役就任。持ち株会社(マネーパートナーズグループ)体制に移行した08年10月から現職兼任。44歳。三重県出身。