【日本政府観光局インバウンド最新リポート 41】香港・広東省・マカオ JNTO香港事務所 薬丸裕 所長


「香港発着」市場に注目を

 現在、香港は、広東省9市(広州、深圳、佛山、東莞、恵州、中山、江門、珠海、肇慶)、マカオとともに「Greater Bay Area=大湾区」として、世界トップクラスの経済エリアへの発展を目指す大湾区プロジェクトが進行中である。中でも2018年は、プロジェクトの本格始動を象徴する港珠澳大橋(香港、広東省珠海、マカオを陸路で結ぶ高速道路)と広深港高速鉄道(中国主要都市から広州、深圳を経由して香港への直通運転を行う高速鉄道)の2大インフラが完成する記念すべき年になる予定だ。

 JNTO香港事務所は、香港のみならず、このエリア全体をカバーする香港、広東省、マカオの3市場を管轄しており、17年における同エリアからの訪日客数は約300万人と推計している。その内訳は、およそ75%と圧倒的なシェアを占める香港が223万人、広東省が推計60万人、マカオが11.5万人となっている。

 広東省からの訪日客数60万人(推計)は、訪日中国人数全体の約8%と言えば、それほど多くない印象を与えるかもしれないが、市場別訪日客数の順位と比較してみると、広東省だけでもタイに次ぐ第7位にランクインする規模を誇る点は注目に値する。また、広東省の2大訪日旅行市場を形成する深圳と広州を合わせただけでも、その人口は、香港の3.6倍となる2702万人、1人当たりのGDPは約2.5万米ドルと、まさに台湾と同規模、同水準に達することから、これらの2都市を内包し、1.1億人の人口を持つ広東省市場の潜在力がいかに大きいか、お分かりいただけるであろう。

 また、マカオは、13年以降、香港と同様に訪日客数が急増し、人口65万人と小規模ながら訪日客数は11.5万人と市場別順位で19位とトップ20入りを果たしている。6人に1人が訪日する市場密度も台湾に次ぐ水準で、1人当たりのGDPは日本の2倍となる7.7万米ドルと非常に興味深い市場を形成している。

 今後、香港、広東省、マカオをまたぎ相互移動に要する時間、コストを格段に改善するインフラが整備されることで、ヒト、モノ、カネ、情報の流動性が一気に高まることが確実視されている。その影響は、訪日旅行を含めた香港発着の海外旅行市場にも及ぶことは必至で、実際に香港ベースの航空・旅行業界も大湾区プロジェクトを大きなビジネスチャンスと捉え、商圏拡大を見据えたマーケティングを積極的に展開している。

 JNTOとしても18年は、「香港人」市場だけでなく、広東省、マカオも視野に入れた「香港発着」市場として着目、着手し、このビジネスチャンスをしっかりとつかんでいくキックオフの年にすべきだと考えている。人口、経済規模だけでなく、今後の大きな成長、ポテンシャルを秘めた大湾区。ぜひ日本のインバウンド関係者においても、香港に加え、広東省、マカオを対象とした積極的なセールスやプロモーションを実施されることを切に望んでいる。

 
 
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