【体験型観光が日本を変える392】万博開幕、一度は行きたい 藤澤安良


 新年度が始まり、観光関係の新任や異動などの行政職員研修を行った。

 大変で難しいことはやりたくない。責任は取りたくない。リスクは避けたい。住民との接触は避けたい。しかし給料は高い方がよい―など、そんな職場があるはずもなく労働意欲が希薄になりつつある時代にあって、職場の上司ではない立場を利用して、地方の行政職員の在り方をかなり厳しく講義をした。

 言わなければ分からないし、あるべき姿を説き続けることが大事だと思っている。受講者はいい顔つきをして帰って行った。期待したい。
 4月13日、まだ未完成のパビリオンがいくつかある中、ついに、大阪・関西万博が開幕した。その開幕日は雨風が強く寒い1日となったが、思ったより多くの入場者が訪れた。東京から大阪への月曜日の朝の新幹線指定席も結構乗車率が高く、もうB席しか空いていなかった。万博効果かもしれない。

 工事が遅れていたこともあり、公式ガイドブックも開幕1カ月を切ってから紹介されるなど、開幕間際から報道が始まったため、万博の展示の内容などはまだよく理解できていない人が多いと思われる。しかし、各国や出展企業は威信をかけての出展であり、開幕後の多くの報道により理解が広まり、多くの観覧客が訪れると思われる。私も4月下旬の入場券を確保しており、とにかく一度は行っておきたいと思っている。
 万博開幕以上に世間を騒がせているのが、トランプ米大統領が打ち出している相互関税である。多くの国に高率の関税をかけると発表したと思えば、中国以外の国は90日の猶予をするという。

 その間、米国も日本も株価が乱高下した。強気のトランプ大統領も米国の株価の暴落と反対運動などはさすがに無視できず、交渉期間として先延ばしをしたと思われる。しかし、高率な関税は物価への影響が大きく、今でも米価や食品などの高騰は国民生活を圧迫している。政府は消費税減税か一時金給付かの検討に入った。

 地産地消と内需拡大が大命題となると国内観光産業の発展にも期待がかかる。当然、補正予算が組まれることになる。

 昨年も、賃上げムードが主流であったが、結局物価高に追い越され吸収された。政策の焦点がガソリンや食品に当たれば可処分所得向上にまでは及ばず、国内旅行の費用捻出に向かうか心配である。

 近畿地方は万博の相乗効果が期待できるが、情報化時代の特徴でもあるが何もしないでじっと待っているだけでは取り残されることになる。大阪から遠いその他の地域は、春からのアクティビティや、都市部では体験できない大自然との深い関わりなどの体験プログラムがキラーコンテンツとなる。情報発信などプロモーションを積極的に行うなど有効な誘客戦略と素早い行動が求められる。

 日本人の海外旅行がコロナ前に戻りきらない要因の一つは円安であった。160円くらいから1割程度ではあるが、関税と株価下落で一時は1ドル143円になった。それが海外旅行拡大のきっかけとなることも期待される。


(観光経済新聞25年4月21日号掲載コラム)

 
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