
大手自動車メーカーの代表取締役会長が金融商品取引法違反の疑いで逮捕されたニュースは世界中を駆け巡ったに違いない。庶民の意識と桁違いの報酬を過少申告したとのことである。
以前、世界の所得上位8人で下位の人口の50%の所得に当たるとの報道があった。人間力や知能、行動力などに「人間」がそれほどの差があるとは思えない。運もタイミングも何かの歯車がうまくかみ合うと大きな違いが生まれることになる。ない者の僻みだけど、そんなにもらわなくても生きていけるのにと思ってしまう。諦めないで努力すべしということなのだろう。
11月23日、2025年の国際博覧会が大阪で開催されることが決まった。20年の東京五輪・パラリンピックに次いでの開催となる。1964年の東京オリンピックに次いで70年の大阪万博の流れとよく似ている。その後高度経済成長時代があり、バブル崩壊となったことを肝に銘じて、同じ轍(てつ)を踏まない政治のかじ取りが求められることになる。
さらには、27年には中央リニア新幹線の開業も予定されている。増え続けている訪日外国人は、それらの世界的なイベントでさらに飛躍をする可能性を持っている。万博開催地となる大阪は訪日外国人が1110万人と最も外国人観光客比率が高く、宿泊料金の高騰は不法民泊の増加にもつながっている。
世界的に人気が高い京都はオリンピックの年に1日1万泊足りないとしてホテルの建設ラッシュが続いている。まずは、広く近畿全域の宿泊施設と連携し不足に備えなければならない。訪日客のリピーターも増え続けており、都市型観光から地方へ田舎への流れが起こることは間違いない。観光による地方創生の好機となるが、それに向けての備えを怠ってはならない。
モノ消費からコト消費への流れに合わせて、旅の目的提案となるコト=体験型観光の受け入れ整備をしなければならない。何もしなければ追い風が吹いても通り過ぎてしまう。帆を張らなければならない。備えとは、(1)「体験プログラム」の商品化であり、それを動かす(2)「インストラクターの養成」であり、情報発信、販売、コーディネートする(3)「組織」が必要である。
リニアの駅が確定している南信州は20年前から体験型観光に取り組み、南信州観光公社を設立し、教育旅行を中心とする体験型観光の受け入れを行ってきた。訪日教育旅行も増え続けており、一般団体旅行、旅行会社の募集ツアー、企業研修なども体験型観光へと変化しつつある。その体験プログラムのインストラクターやガイドのクオリティアップのための人材育成を1泊2日で3回行った。
20代から70代まで多様な年代で70人の参加があり、研修後のやる気に満ちあふれた表情から心の高まりを強く感じた。忘れてならないのが、(4)「地産地消化の推進」である。どれだけ地域色を出せるか、それこそが地元経済に跳ね返ることとなり、地方創生の切り札となる。(1)(2)(3)(4)がその公式である。今動き出さねば間に合わない。