
国内でバス事業を行うには国の事業許可申請が必要となります。国は安全性が確保できると判断した事業者にのみ許可をしますが、簡単に参入できるものではありません。「法令順守や資金を含め事業者として適切であるか」「営業所(土地、建物)、車庫、車両などの事業施設が確保できているか」「運転者、運行管理者、整備士など必要な人員が確保できているか」「安全にバスが運行できる路線計画であるか」「万が一の場合の損害賠償など事故が起きた場合の備えが十分であるか」などの厳しい審査があり、その審査を通過した事業者のみが事業を開始することができます。
運賃を受け取って、プロの運転手が運転し、人々を運ぶバス事業を「旅客自動車運送事業」といいます。ナンバープレートはいわゆる緑ナンバーです。旅客自動車運送事業は「一般旅客」と「特定旅客」に分類されます。一般旅客は不特定多数の人を乗せるバス、特定旅客は特定の人や団体を乗せるバスで、例えば学校の送迎バスなどがこれにあたります。
また、一般旅客は「乗合」と「貸切」に区分されます。乗合は路線バスやコミュニティバス、デマンドバスなどを指し、貸切は観光バス、シャトルバスなどを指します。国交省をはじめ、バス業界では「乗合バス」「貸切バス」という単語を使用するのですが、当社の「どらなび」ではあえてこの単語を使わず、バス運転手を目指す一般の方が分かるように、「路線バス」「高速バス」「観光バス」「送迎バス」「リムジンバス」「ランプバス」といった形で具体的にどんなバスなのか分かる単語で表記しています。
一言で「バス運転手」といっても、どういったバスに乗務するかで、働き方、勤務時間、休日休暇、給与の中身などに違いがあります。また、向き不向きや好みなどもあります。例えば、路線バスと観光バスでは違う職業かと思うほど仕事内容が異なります。
一昔前、バス運転手のキャリアプランは、まずは路線に乗り、慣れたら高速に異動し、ベテランになったら観光に乗り、キャリアの終盤では送迎に乗る、というものでした。しかし今日では、そのようなキャリアプランは気にされなくなり、初心者が観光バスに乗るというようなことも普通になってきています。
(リッツMC代表取締役社長兼女性バス運転手協会代表理事)