
9月20日に日本では初めての開催となるラグビーのワールドカップが開幕した。これから11月2日の決勝まで全国12都市で熱い戦いが繰り広げられる。開幕戦(日本対ロシア)やオールブラックス(ニュージーランド)の試合などでは、スタジアムはもちろんであるが、東京都内のパブリックビューイング会場、また地下鉄やJRを利用してもユニフォーム姿の外国人をいたる場所で見ることができる。
今回、首都圏では東京スタジアムや横浜の横浜国際競技場で開催されるほか、札幌、釜石(岩手県)、熊谷、静岡、豊田(愛知県)、大阪、神戸、福岡、熊本、大分と日本全国で熱いゲームが開催されている。
既に大会組織委員会の発表によると計180万枚の入場券のうち約9割が発売済みとなっており、日本人はもちろん、自国チームを応援するために世界中から熱心なラグビーファンが日本に集まっている。実際に海外から日本へのフライトも開幕直前から混み合っており、通常の訪日旅行者はアジアが多数を占めているが、ラグビーのワールドカップ期間はヨーロッパ、オセアニア、南アフリカなどラグビー強豪国からのファンが多く来日しており、東京にいても普段と異なる街の雰囲気になっている。
そして今回の大きな特徴としては、東京だけでなく、地方でも多く開催されることから日本国内各地にたくさんの外国人が集まっていることだ。東京駅からの新幹線、羽田空港や成田空港からの国内線にも多く海外からのラグビーファンが利用していることを筆者自身も東京駅や羽田空港で感じた。
今回、地方での競技会場の中で釜石、熊谷、静岡、豊田、大阪、神戸へは多くの外国人は新幹線を利用し、札幌、福岡、熊本、大分などへは飛行機を利用することになるが、来年開催される東京オリンピック・パラリンピック以上に地方への波及効果がありそうだ。特にラグビーの試合は体力の消耗からの回復期間が必要であり、予選リーグでも原則1週間に1回のゲームになることから、次の試合までの時間があることから現地で試合の前後に観光を楽しむ外国人も多くいるようだ。
また日本での滞在期間も長いことで、日本文化に触れたいと思っている人も多く、鉄道は「ジャパン・レール・パス」、国内線の飛行機は事前に購入しておくことでANAやJALでも1区間1万800円で利用可能な運賃も追い風となり、10月中は特に地方都市を観光する外国人を見かけることが増えそうだ。
想像以上に地方への波及効果がありそうだ。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)