
11月6日、日曜日朝の羽田空港第3ターミナル。私は取材で台湾の台北へ向かうべく、午前8時前に羽田空港に到着したが2カ月前と明らかに様子が違っていた。
2カ月前の9月10日、私はシンガポールへ向けて出発した際に見られなかったチェックインカウンターの行列がコロナ前に戻っていた。そしてチェックイン後の保安検査場にも長い行列ができていた。10月11日に水際対策が緩和されたことで外国人観光客のビザなしでの入国が再開され、羽田空港、成田空港、関西空港などの国際線が多く発着する空港の到着ロビーや出発ロビーに外国人の姿が多く見られるようになった。
同時に最近目立つのが、日本人の海外出張者の姿である。私は今回、台北へはANA便で向かったが、日曜日の便ということで週明けの月曜日から現地で仕事をするために向かう出張者の姿が比率的には多かった。ソウル線などは、日本人観光客(特に女性)が多く見られているが、全体的に見ると日本人の渡航についてはビジネス渡航が中心だ。円安の影響があるほか、燃油サーチャージの高騰など航空券の価格が全体的に高くなっていることもあり、旅行よりも出張が中心の動きとなっているようだ。
私も9月以来2カ月ぶりの海外だが、9月10日と11月6日で一番違いを感じたのが、出国審査後の免税店エリアであった。これまではオープンしている店の方が少なく、限られた免税店しか開いてなかったが、今回は多くの免税店の営業が再開し、円安の影響もあってか、外国人観光客が最後の円安ショッピングを楽しむ光景が見られた。まだ完全ではないがコロナ前の活気がある程度戻ってきたことを感じた。
筆者の肌感覚としては、円安の最大限の恩恵を受けているアメリカ人の購買意欲が高まっているように感じる。そしてこれも肌感覚ではあるが、出国審査後のエリアでは成田空港よりも、羽田空港の方が全体的な活気があるように感じる。成田空港の出国審査後のエリアは便数が少なくなる夕方以降、ほとんどの店がコロナ前の営業時間よりかなり早く閉まっている。例えば夜のハワイ便に乗りたい時など、出国審査前、出国審査後共に食事をする場所がほとんどないという声も多く聞かれる。
便数が戻ってくれば営業再開となるが、それでも確実に国際線利用者が戻ってきていることは明らかであり、今後の新型コロナウイルスの感染者次第ではあるが2023年は本格的にインバウンド復活となれば、コロナ前以上に各空港がにぎわうことになりそうだ。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)