
帝国データバンクは、今年1~3月の全国企業の「休廃業・解散」動向をこのほど調査し、結果を公表した。同期に全国で休廃業・解散を行った企業(個人事業主を含む)は前年同期比9.5%減の1万3512件と、同期間では2016年以降で最も少なかった。ただ、業種により大きく差が見られ、「旅行代理店」が前年同期比で78.6%増と最も大きく増加。「旅館・ホテル」も35.3%増と増加した。なお、休廃業・解散は、「倒産(法的整理)によるものを除き、特段の手続きを取らずに企業活動が停止した状態の確認(休廃業)、もしくは商業登記等で解散(ただし『みなし解散』を除く)を確認した企業の総称」。
コロナで72件倒産 20年の宿泊業者
帝国データバンクによると、2020年度(20年4月~21年3月)の宿泊業者の倒産(負債1千万円以上の法的整理)は前年度比66.7%増の125件で、増加率が過去最高となった。125件のうち、新型コロナウイルスの影響による倒産は72件、全体の57.6%を占めた。
比較可能な00年度以降を見ると、件数はリーマン・ショックの影響を受けた08年度(131件)、東日本大震災後の11年度(130件)に次いで3番目に多かった。
負債総額は863億6600万円。前年度比10.9%増加した。関西や北海道でリゾートホテル事業を展開していたWBFホテル&リゾーツ(負債約160億円)などの大型倒産があった。
件数を業態別に見ると、「ホテル・旅館」が117件と最多。前年度比で1.7倍となった。「コロナ禍でインバウンド需要が激減し、緊急事態宣言後に宿泊予約のキャンセルや施設の休業で経営が立ち行かなくなったケースが目立つ」(帝国データバンク)。
ほかに、「簡易宿所」が5件、「他に分類されない宿泊所」が2件、「下宿業」が1件。
地域別では「中部」が30件で最も多かった。前年度比で1.5倍の増加。内訳を見ると、長野県が10件と最も多く、「スキー宿泊客の減少で業績が悪化する中、新型コロナウイルスの影響が追い打ちとなった事例もあった」(同)。