
都心部と臨海部を直結する新たな交通機関が「東京BRT」です。2020年に第1次プレ運行を開始し、虎ノ門ヒルズ・新橋と晴海の間を結びました。環状2号の「築地虎ノ門トンネル」が全通したのを機に、4月から第2次プレ運行に移行。豊洲や国際展示場方面まで路線を拡大しました。
BRTとは「バス高速輸送システム」のことで、速達性と定時性を兼ね備えたバスシステムです。バス停の間隔を長めに取り、優先信号や優先レーンを設けて平均速度向上を図ります。
といっても、東京BRTの第1次プレ運行時に乗ったときは、バス停が少ない急行バスという程度で、一般路線バスと大差ない、というのが正直な印象でした。築地虎ノ門トンネルが未開通だったので、新橋―勝どき間の道路が混雑していたからです。
第2次プレ運行が開始されたのを機に、拡大区間を含めて乗車してみました。虎ノ門から新橋までは、これまでのルートと同じで信号が多く、路線バスと大差ない印象。ところが、新橋から先は、築地虎ノ門トンネルのおかげで、あっという間に勝どきに到着します。新橋―勝どき間は5分程度しかかからず、地下鉄に劣らない速さに感じられました。
いったん新橋まで戻り、次は国際展示場まで乗り通してみます。新橋―国際展示場間の所要時間は17分で、ゆりかもめより早く着きます。終点の国際展示場停留所は、東京ビッグサイトまで徒歩数分。イベントの際には訪問客の足としても活躍しそうです。週末には東京テレポートまで延長運転しますので、お台場観光にも使えるでしょう。
豊洲市場へのアクセスも改善されました。新橋からわずか10分、途中停留所は一つだけです。
東京BRTは、今後、晴海フラッグ方面への路線が開設され、本格運行を迎えます。本格運行時には、乗降時間短縮のため、全トビラから乗車可能となります。運賃はICカード支払いのほか、券売機での乗車券発売も予定。これまでは、都バスと料金も乗降システムも同じで、都バスとどう違うのかがわかりにくかったのですが、本格運行時には独自性が高まります。
課題としては、虎ノ門ヒルズ―新橋間の運行速度が遅いことでしょうか。信号が多く速度向上が難しいので、この区間はBRTにはあまり適していない気がします。思い切って、新橋以南の運行に特化してしまってもよさそうです。
(旅行総合研究所タビリス代表)