
「ラク、バイト」で検索しました、との言葉に思わず聞き返してしまった。夜勤の大学生がホテルのアルバイトを見つけるきっかけになった求人検索の言葉である。この業界に入って25年、初めての経験であった。今まで多くの大学生アルバイトを受け入れてきたが、一気に固定概念が覆された。まずは時給、勤務地で検索をして、その中から時間や諸条件を絞り込んでいくアルバイトが大半だったからである。
さらに深く話を聞いていくと、ホテルのアルバイトは実際に楽であり、効率が良いと話し始めた。塾の講師は基本的に授業時間数が基本給となる。そのため担当の授業が連続しないと待機時間が長く、また授業の準備にも時間を費やしてしまう。給与と比較すると効率が悪いというのだ。
その点ホテルの夜勤は、実働時間が長い。仮眠もあるため翌日の学校での授業やサークル活動などに支障がない。そして何よりもホテルで働くのは、格好良くて友人に自慢できるとうれしそうに話してくれた。
聞いたときは呆然としてしまい、正直なところ驚くばかりであったが、冷静に考えてみると貴重な話だということに気付かされた。
昨今の求人はインターネットが主流である。冊子や新聞折り込みと異なり検索にヒットしなければ目にしてもらえることもない。人材不足が深刻である現状、最大のヒントを得たと前向きな気持ちになったのだ。
私は現場からの発信が最大のマーケティングであり、働く環境をより良く整え、お客さまサービスの向上へつながると考えている。
そのため、日頃から社員、アルバイト、パートの方たちと何気ない会話を大切に心掛けているが、職場での経験を重ねるにつれてスタッフからの本音を話してもらえる機会が減少しているなと感じていた。
それだけになおさら、ありがたい言葉であったと痛感し、あらためて現場スタッフとのコミュニケーションの重要さを再確認できた出来事となった。
(NPO・シニアマイスターネットワーク会員、サーブホテルズ株式会社取締役支配人 花岡有希)