
檜風呂に山人料理
――檜枝岐村で最も歴史のある宿だそうですね。
「創業は明治25(1892)年です。当館前の国道はかつての街道ですぐ近くに関所があり、その関所の鍵を扱っていたことから、『かぎや旅館』という屋号になったと伝えられています」
――建物、客室は。
「木のぬくもりを生かした昔ながらの木造2階建てです。特に昭和45年築の客室は、私の祖父に当たる4代目が、地元の山々から切り出してきた木材を床柱に使用しています。客室数は10室です」
――どのようなお客さまが多いのですか。
「初夏から秋にかけては、日本百名山の会津駒ケ岳や燧ケ岳の登山客、尾瀬のハイキング客が多いですね。尾瀬というと群馬県側から入るイメージを持っている人が多いようですが、檜枝岐は福島県側の尾瀬の玄関口です。また、檜枝岐歌舞伎が行われる時は大勢のお客さまがお越しになります」
――温泉は。
「浴槽はヒノキを使った檜(ひのき)風呂と、御影石の浴槽の石風呂で、男女入れ替え制にしています。檜風呂は浴槽の枠や湯出し口などを新しくしたばかりで印象が変わりました」
――料理は。
「檜枝岐では、山で働いてきた先人から伝わる味を『山人(やもーど)料理』と呼び、宿ごとに異なる料理があります。観光協会のイベント『山人春まつり』が行われる5月の連休明け頃からは山菜です。当館の膳に並ぶ山菜は、自分が近くの山に入って採ってきたものです。9~10月の『山人秋まつり』の時期はキノコなどの秋の味覚。10~11月の『山人新そばまつり』の時期には、つなぎを使わない檜枝岐名物の裁ちそばが味わえます」
【1泊2食1万3350円(諸税込み)から】