純損益は黒字を確保
JTBが5月29日に発表したJTBグループ2019年度(19年4月~20年3月)連結決算は、新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛や渡航制限の影響により売上高が1兆2885億6900万円と前年度比で5.8%減少した。国内、海外の構造改革により営業経費の削減を進め、営業利益は78.0%減の13億9300万円、経常利益は15.5%減の25億4800万円と減益だったが、前期に9年ぶりの赤字(151億1600万円)となった当期純損益は16億4900万円の黒字を確保した。
連結対象会社は国内33社、海外118社、持分法適用会社23社の計174社、従業員数は2万7200人。
新型コロナウイルスの影響によって売上高で約1千億円、営業利益で約150億円、それぞれ減少した。
売上高を旅行分野別に見ると、国内旅行は10.2%減の4545億500万円。個人旅行企画商品「エースJTB」は14.0%減で、新型コロナウイルスの影響を受けた第4四半期だけを捉えると40.1%減。商品改革として、マーケットの二極化に対応する商品展開や目的型商品を強化したが、市場規模に見合う成果は得られなかった。
団体旅行は4.2%減で、第4四半期のみでは37.3%減。旺盛な企業活動の需要や大型イベントを取り込んだほか、ソリューション営業の拡大も図った。スポーツビジネスでは、「ラグビーワールドカップ2019日本大会」の販売が順調だった。
海外旅行は6.2%減の4401億1800万円。主要方面のハワイ、欧州が堅調に推移したが、新型コロナウイルスの影響を受けた。個人旅行企画商品「ルックJTB」は3.4%減、団体は9.5%減だった。
訪日旅行は11.5%増の683億9400万円。ラグビーワールドカップ2019日本大会といった大型イベントなどの取り扱いを伸ばした。
グローバル旅行(日本以外の第三国での旅行事業)は4.2%減の1105億7600万円。
20年度の見通しは、「新型コロナウイルス感染拡大に起因する世界的規模での経済活動の抑制が現在も進行中であり、従来の基準で合理的に推し量って算出することが極めて困難であることから、未定としている」(同社)。