麻生太郎首相はこのほど、東京都千代田区の日本記者クラブで講演し、2020年までに国内総生産(GDP)120兆円増と400万人の雇用創出を目標に掲げた「新たな成長戦略」を明らかにした。同戦略は、(1)日本の魅力発信(2)低炭素革命で世界をリードできる国(3)安心・元気な健康長寿社会──を3本柱に掲げ、特に魅力発信では「キラリと光る観光大国を目指す」と強調した。
首相は、政府が目標とする20年の訪日外客2千万人を「実現したいと思う」と述べ、「きちんと魅力をアピールし、必要な措置を行えば外国人旅行者は必ず増える」との見通しを示した。
そのため、日本へのアクセス改善に取り組むのが急務と指摘、「成田空港の場合、外国人の入国審査の待ち時間は最長28分。これを半減させ15分とし、成田から羽田への国内線への乗り継ぎ時間を現在の100分程度から50分台にする」と具体的な数字を挙げて説明した。
観光地の景観、町並みの改善にも意欲を示した。首相は「無電柱化することによって観光客が増加した」と福島県会津若松の大内宿の例を挙げ、「今後3年間で30カ所を選んで無電柱化などの景観工事を進め、魅力的な町並み風景を作る」と述べた。
また、ソフトパワーの活用について触れ、アニメやゲームなどのコンテンツ(情報の内容)産業の育成に取り組むとし、「20年には20兆円から30兆円の規模の一大産業に育成し、50万人の新規雇用を創出する」考えを明らかにした。