指宿白水館(鹿児島県指宿温泉、下竹原和尚社長)は11日、同館敷地内に薩摩ゆかりの美術品を集めた「薩摩伝承館」をオープンした。創業60周年を迎えた同館が、今まで収集してきた美術品約3千点の中から約380点を展示。「幕末から明治にかけてひときわ輝いた薩摩の歴史と文化を広く深く伝える」(同館)。
展示室「薩摩の間」では、西郷隆盛をはじめ、薩摩の偉人にスポットを当てて紹介。隆盛が実際使った金時計や、薩摩藩が製作した「薩摩琉球国勲章」などを展示している。
「民窯の間」「官窯の間」では、8千年の歴史を持つ中国の陶磁を展示。皇帝が宮廷用に特別に焼かせたという、質の高い中国の陶磁群を展示している。
「金襴の間」では、伝統芸術による金箔の壁を背景に、約130点の「金襴手薩摩焼」を展示している。
建物は京都の平等院鳳凰堂をイメージした重厚なつくり。館長は東京国立博物館陶磁室長、郡山市立美術館館長などを歴任した矢部良明氏が務める。
このほか館内には多目的に利用できるイベントホールやオリジナルグッズをそろえたショップを併設。
東京・広尾の人気イタリアン料理店「ACQUA PAZZA」も出店。鹿児島の旬の食材を使った料理を提供する。
入館料は大人1500円(15人以上団体1350円)。1年間有効のパスポートは3千円。年中無休で営業する。
平等院鳳凰堂をイメージした建物