富山県高岡市の民間企業などがこのほど、高岡市と富山県を盛り上げようと「高岡観光発信会」を立ち上げた。総勢50人のメンバーは宿泊施設や食事処、観光施設、土産物店などの社長や店長が中心。会社の垣根を越えて市への観光客の誘致に取り組む。
観光施設や宿泊施設、農協やお寺などが集まり民間団体を作るのは富山県では初めて。同会会員で道の駅万葉の里高岡の伊藤直哉店長は「2015年春には北陸新幹線が開通するが、新高岡駅のことはまだあまり知られていない。新幹線を使った団体の送客をどう旅行会社にアピールしていくか、市全体で考えなくてはいけない」と設立の経緯を語る。
年間400万人の観光客が訪れる同市。しかし約9割が高岡に滞在しない、典型的な通過型観光地となっていると同会は指摘する。
問題点として「各企業が個別に旅行会社に営業を行っているので、旅行会社がコースを組みにくい」「観光客は新鮮な魚介類を期待しているが、提供している宿泊施設が少ない」「宿泊施設と飲食店の連携が不明なので氷見や和倉の旅館や温泉に予約が流れる」などを挙げる。
同会は市内の施設が手を結ぶことで施設ごとの「点」の活動を「線」の活動に移し、将来的には近隣市町村を巻き込んで「面」として活動していきたい考え。
今後はツアー企画担当者や一般を対象にしたモニターツアーを実施し、改善策を講じる。
同会は、富山湾で朝取れたばかりの海の幸で作る朝食を「朝獲れキトキト朝食」と名付け、日本一おいしい朝食が食べられる町として売り出すことや、江戸時代から続く伝統工芸の町を体感してもらうヘリテージ(地域遺産)・ツーリズムの促進を図っていくなど、具体的な展望も掲げる。
高岡観光発信会副会長でホテルニューオータニ高岡の財津達朗総支配人は「高岡市は、連峰立山、国宝瑞龍寺など観光資源はあるが、あまり観光地化しすぎてないところがいい。町を歩くだけでも、町の生活そのものを疑似体験して楽しんでもらえる」と高岡の魅力を語った。