韓国からの2019年9月の訪日旅行者数は、前年同月比58.1%減となった。日韓関係の悪化が影響し始めた7月から3カ月連続の減少だが、観光庁、日本政府観光局(JNTO)は9月中旬、ターゲットを絞るなどの手法で、韓国の旅行会社との共同広告などの訪日プロモーションを再開した。
韓国向けの訪日プロモーションは、JNTOのウェブサイトやSNSによる情報発信は継続的に実施されている。しかし、訪日旅行を控える動きなどを踏まえて、計画されていたJNTOと航空会社との共同広告などは延期となっていた。
観光庁によると、JNTOが韓国の旅行会社との共同広告として、釜山の地方紙に「九州オルレ」のトレッキングなどをPRする広告を9月16、25日に掲出した。問い合わせ件数は通常より少ないものの、秋~春のトレッキングなど訪日旅行に関心を示す反応もあったという。
招請事業も一部で実施している。韓国の旅行会社やブロガーなどを招請したファムツアーを9月27~30日に東北で行い、トレッキングの魅力などを紹介した。
当面の誘客は日韓航空路線の運休、減便の影響で厳しいが、観光庁の田端浩長官は17日の専門紙向け会見で、「韓国の旅行会社との連携を継続しているので、今後も現地の状況に応じ、できるところからプロモーションを実施していく」と説明し、旅行需要の喚起で運航便数の回復にもつなげたい考えを示した。
田端長官は、韓国の入管当局の発表を基に日本からの9月の訪韓旅行者数が前年同月比1・5%増だったことにも触れ、「日本の方は韓国を訪れている。人的交流が両国関係の基盤ということがこういうところにも表れているので、こうした流れは続けていきたい」と述べた。