北海道の阿寒湖温泉(釧路市)の旅館・ホテルなどで組織する阿寒観光協会まちづくり推進機構(理事長=大西雅之・阿寒グランドホテル社長)は13日、温泉排湯熱の再利用を検証する調査研究に取り組むと発表した。事業化が実現すれば、路面凍結を防ぐロードヒーティングや宿泊施設の暖房、給湯などに活用できるとあって、地元では期待が高まっている。
同温泉には旅館・ホテルが13施設あり、排湯量は年間約12億リットル。現在、排湯は市の下水処理場に集めて処理し、川に放流している。40度前後の温度があるため、観光協会などでは、何とか排熱を有効利用できないか検討してきた。
そして、このほど経済産業省から、同機構、阿寒国立公園の土地のほとんどを所有する前田一歩園財団(同市)、建設コンサルタント・地質測量業の北電総合設計(札幌市)と共同で、今年度の再生可能エネルギー熱利用高度複合システム実証事業補助事業者に認定された。調査費用は900万円。
来年3月まで、正確な温泉の湧出量や湯温、時期による変化を調査し、事業化できるかどうかの判断材料にする。事業化の可能性が高まれば、排湯を処理している釧路市も加わり、利用方法を検討することにしている。
関係者によると、北海道の地域特性から、熱交換器を使ったロードヒーティングへの利用が、最も可能性が高いという。事業化が実現すれば、経済的な効果に加え、「環境にやさしい温泉地」として全国にPRでき、観光誘客にも寄与するとみられている。