人気温泉旅館ホテル250選(観光経済新聞社主催)入選施設などの有志で組織する「日本の宿懇話会」(佐藤義正代表世話人=岩手県・湯守ホテル大観)は11月24、25日、山口県長門湯本温泉の大谷山荘で第5回例会を開き、会場となった長門湯本温泉の新たな街づくりを現地関係者の講演と視察で学んだ。
会は「日本旅館の品質向上」「国内観光、国際観光発展への寄与」「後継者育成」「会員同士の親睦」などを目的に2018年発足。現在、約50軒が参画している。毎年数回の例会を会員施設の温泉地などで行うほか、若手経営者らで昨年発足した委員会「日本の宿文化研究会」が伝統文化の研究を今後進めていく。
長門湯本温泉の街づくりを手掛ける「長門湯本温泉まち株式会社」の木村隼斗エリアマネージャーが、同温泉の新たな街づくりの経緯と会社の取り組みを講演した。
同温泉は1984年の年間39万人をピークに宿泊客が減少。2014年に18万人まで落ち込んだ。地元長門市は温泉街に活気を呼び戻そうと、民間の力を活用した温泉街の再開発を発案。星野リゾートと連携して2016年から取り組んだ。
温泉街では、外湯「恩湯」のリニューアルをはじめ、川床テラスの設置や「竹林の階段」のライトアップ、駐車場のイベント空間への転用など、昼夜問わず街をそぞろ歩きできる環境を整備。今春に計画がほぼ完了した。リニューアルは本格的な整備を進める前に、実験的に徐々に行うなど、地元関係者の理解を得る配慮をしたという。
ハードの整備をほぼ終えた長門湯本温泉は、外部への情報発信や小規模地域開発、事業者への各種支援を行う新会社、長門湯本温泉まちを今春設立。持続可能な観光街づくりを進める。観光経済新聞社が主催する「にっぽんの温泉100選」ではベスト10入りを目指す。
日本の宿懇話会は来年、春と秋に例会と文化研究会をそれぞれ2回開催する予定。文化研究会は文化庁と連携を深めて日本文化の研究を進めるほか、伝統文化としての旅館に対する支援を求める考えだ。
佐藤代表世話人は「われわれは伝統文化の火を絶やさず、守り続けなければならない。コロナに負けず、共にがんばりましょう」と出席者に呼び掛けた。
例会であいさつする佐藤代表世話人