魅力的な鉄道旅行の日本一を決める催しが1月26日、さいたま市の鉄道博物館で開かれ、JTB西日本の「怪奇トロッコ列車 京都保津川2時間サスペンス」がグランプリを受賞、賞金10万円が贈られた。審査委員長を務めた俳優の関口知宏さんは「一番簡単なお遊び企画のようで、実現は簡単でないはず」とのコメントを寄せ、同社の商品造成力をたたえた。
この催しは「鉄旅オブザイヤー」。旅行会社が造成する鉄道旅行商品の企画力を競うもので、初の試み。全国の旅行会社が企画したプランを広く募集したところ90作品が寄せられ、関口さんら鉄道ファンの審査員が審査し、グランプリを含め計5作品を選んだ。
授賞式の冒頭にあいさつした実行委員長の田川博己JTB社長は「鉄道そのものが旅の素材であり、(この催しを通じ)鉄道の旅の魅力を知ってほしい」と強調。また、プレゼンターを務めた、映画「僕達急行 A列車で行こう」(3月24日公開)に出演した女優の村上絵莉さんは「こんなに楽しい鉄道の旅があるんだと楽しめました」と笑顔で話した。
グランプリを受賞したJTB西日本のプランは京都の観光名所、嵯峨野の夜をトロッコ列車で巡るツアー。通常は昼間に列車の中から保津川渓谷の風景を楽しむコンセプトで運行されているが、あえて景色が見えない夜に列車に乗り、お寺の住職による怪談話や舞踏団による妖怪パフォーマンスなどを行う、納涼企画として打ち出した。
審査員の1人、フォトライターの矢野直美さんは「アイデアが秀逸。ローカル線で、それぞれの土地柄を生かしながら、時間帯や季節を問わずさまざまなアイデアが生まれるきっかけになる企画だ」と絶賛する。
ツアーは昨年8月27日に実施。売り出したところ「即完売だった」と担当者。料金は大人3300円、小人1500円。評判もいいことから今年も設定する予定。
準グランプリは近畿日本ツーリストの「人気列車でめぐる九州一周」。九州新幹線と九州の個性的な7つの列車に乗り、九州を回るツアー。「個人旅行ではなかなか手配しにくい人気列車を多数そろえて、必要に応じてバス移動を組み入れることでスムーズに周遊でき、さらにツアーならではのお楽しみ演出を取り入れた」と担当者。
観光列車を組み込んだ作品の応募は多かったが「行程、宿泊の魅力、またご当地の食が楽しめたり、路面電車の貸し切りなど多彩な魅力付けが評価された」と実行委。
ツアーは昨年10〜12月の期間、6本設定され、料金は9万9800円だった。今年も継続設定する予定だ。
このほか、審査員特別賞は日本旅行の「ブライダルトレインinひたちなか海浜鉄道」と「あけましておめde鈍行列車のお正月」、東北応援賞はクラブツーリズムの「鉄道旅情東北『絆』でつなぐ三陸路2日間」が受賞した。
前列左の2人がグランプリを受賞したJTB西日本の担当者