
記者会見する高浦社長
KNT―CTホールディングス(HD)は9日、連結子会社の近畿日本ツーリストによる新型コロナウイルス関連受託業務を巡る過大請求問題を踏まえ、近畿日本ツーリストの髙浦雅彦社長が辞任すると発表した。後任には、近畿日本ツーリストブループラネットの瓜生修一社長が9月1日付で就任する。
過大請求問題の全容解明に向けてKNT―CTホールディングスは、外部専門家などでつくる調査委員会を設置していたが、8日に調査報告書を受領したことを受けて、再発防止策の強化とともに、経営責任を明確にし、関係者の処分などを発表した。
同日には、今回の事案に関する調査委員会の報告も公表。5月末時点では過大請求とその疑義がある事案は80自治体、最大14億7千万円に上ると発表したが、その後の調査により、現時点では最大50自治体、9億円へと修正した。同時案発生の要因として、髙浦社長は利益追求に対する強い志向、管理態勢の脆弱(ぜいじゃく)さなどを挙げた。
近畿日本ツーリストに関しては、髙浦社長の辞任のほか、取締役3人が報酬月額の20%を3カ月間、自主返納するなど処分を実施。KNT―CTホールディングスについても、米田昭正社長が報酬月額の20%を3カ月間、自主返納するなどの処分を発表した。
再発防止策に関しては、コンプライアンス委員会、コンプライアンス改革本部、法令倫理管理センターの設置に加え、ITシステムを活用した契約内容の確認などを含む仕組みづくりに注力する。米田社長は「再び社会の皆さまから信頼いただけるよう、全社一丸となり企業風土の改善に努める」と決意を示した。
記者会見する高浦社長