農泊を推進している農林水産省は、訪日外国人観光客の受け入れ拡大に向けた課題などを検討するため、「農泊推進のあり方検討会」を設置、昨年12月25日に初会合を開いた。2018年度内に中間報告をとりまとめる予定。
同省は農泊について、20年までに持続的なビジネスとして取り組む地域を500地域創出することを目標に掲げ、17年度から農山漁村振興交付金(農泊推進対策)を使い、農泊を推進する地域の実施体制確立に向けた支援を行っているが、同省は「政府方針に基づき、地方における訪日客の増加に対応するため、農泊推進地域でインバウンドの受け入れを拡大していく必要がある」(都市農村交流課)としている。
検討会は、今後の農泊を推進する地域の実施体制強化をはじめ、インバウンドの受け入れ拡大に向けた課題や必要な取り組みを明らかにするとともに、20年以降の農泊推進施策の展開方法につい議論する。
現在、352地域を採択済み。17年度採択分の205地域でのインバウンド取り組み実績は、Wi―Fi、洋式トイレ、キャッシュレス決済が82地域、外国語対応(ホームページ設置、表示板など)が108地域となっているが、同省はソフト・ハード両面の受け入れ態勢整備、インバウンド向けコンテンツの充実、プロモーションの強化が課題としている。
例えば、コンテンツの充実では(1)食(本場の日本食、ジビエやベジタリアン対応メニュー)(2)体験(温泉、ガイド付き散策、雪遊び体験、着付けなど伝統文化体験)(3)長期滞在を前提にしたプログラムの開発促進―などを挙げる。
同省はまた、205地域ついて、中核法人または地域協議会が未成立の地域や、宿泊、食、体験がそろっていない23地域の全てに対し職員の現地指導を実施。その結果、体験が農業体験(田植えや収穫など)に偏り、その時期に集中していることや、地域の宿泊数の実績が把握できていない現状が明らかになった。
検討会ではこうした事例も踏まえ、農泊実施体制の強化に向けた課題を洗い出す予定だ。
検討会の委員は次の通り。
伊東和宏・国際観光振興機構(JNTO)市場横断プロモーション部長▽大江靖雄・千葉大教授▽上山康博・日本ファームステイ協会代表理事▽木村宏・北海道大観光学高等研究センター特任教授▽篠崎宏・JTB総合研究所コンサルティング第1部長▽デービッド・アトキンソン・小西美術工芸社社長▽矢ヶ崎紀子・東洋大教授