
2018年の訪日外国人旅行者数は、前年比8.7%増の3119万2千人となり、過去最高を記録した。日本国内で相次いだ自然災害に伴い東アジアなどの一部で旅行控えが見られたが、政府が定める重点市場では、香港を除く19カ国・地域で年間の最高値を更新した。18年は出国日本人数も過去最高を記録し、前年比6.0%増の1895万4千人に達した。
18年の年間値はいずれも日本政府観光局(JNTO)が16日に発表した推計値。
訪日外国人旅行者数は、政府が訪日促進事業「ビジット・ジャパン・キャンペーン」を開始した03年には521万人だったが、13年に初めて1千万人を突破し、16年に2404万人、17年に2869万人に達していた。
観光庁の統計(速報値)によると、18年は訪日外国人の旅行消費額も過去最高の4兆5064億円を記録した。統計手法の変更で17年との直接比較ができないが、従来手法の推計では約4兆8千億円となり、17年比で8.7%増となった。
ただし、政府のインバウンドの目標は、2020年に旅行者数4千万人、旅行消費額8兆円。観光庁の田端浩長官は16日の専門紙向け会見で、「目標達成には、幅広い国・地域から旅行者を確実に増加させるとともに、地方誘客を進め、インバウンドの効果を全国に波及することが必要」と指摘した。
18年の出国日本人数は、2月を除いて各月で前年同月の実績を上回った。10月、12月にはそれぞれ12.8%増、10.9%増と2桁の伸びを示した。好調要因は、堅調な国内経済、為替レートの安定、近隣国との外交関係の安定などが挙げられている。
出国日本人数は、1964年の海外旅行の自由化以降、おおむね右肩上がりで増加し、2000年には1782万人に達した。03年にはSARS(重症急性呼吸器症候群)、イラク戦争などの影響で1330万人に落ち込んだが、12年にはこれまでの最高値1849万人を記録。以降は1600~1700万人台で推移していた。