
宿泊数が増加、旅行支出21万円
インバウンド消費が四半期として初めてコロナ前の実績を上回り、2023年の消費額は過去最高の5兆円が視野に入ってきた。観光庁の訪日外国人消費動向調査の結果(1次速報)で、23年7~9月期の訪日外国人旅行消費額は、19年同期比17・7%増の1兆3904億円と推計された。訪日客数の回復に加え、宿泊日数の増加が消費を押し上げ、クルーズ客を除く旅行者1人当たりの旅行支出は同29・4%増の21万810円に上昇した。円安に伴う消費意欲の高まり、物価高、観光関連サービスの価格引き上げなども影響したとみられる。
22年10月の水際対策の大幅緩和でインバウンド旅行が再開。訪日外国人旅行消費額は、22年10~12月期が19年同期比51.0%減の5949億円、23年1~3月期が同12.3%減の1兆103億円、23年4~6月期が同2.8%減の1兆2319億円と回復が進んでいた。
23年7~9月期の訪日客数は、中国からの訪日団体旅行に制限が残る中だったが、クルーズ客を除く一般客が19年同期比7.3%減の657万8千人に上った。クルーズ客は同87.9%減の8万4千人だった。クルーズ客への調査は23年7~9月期から再開された。
訪日客数の増加に加えて、1人当たりの宿泊数の伸びが消費額単価を引き上げた。ビジネスや親族・知人訪問などを除く、観光・レジャー目的の一般客の平均宿泊数は7.2泊で19年同期比0.8泊増。訪日客数が上位の国・地域の宿泊数(カッコ内は19年同期比)は、韓国4.0泊(0.6泊増)▽台湾6.3泊(1.1泊増)▽香港6.8泊(1.1泊増)▽中国7.5泊(1.5泊増)▽米国11.5泊(1.4泊増)―といずれも増えた。
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