観光庁はこのほど、訪日外国人消費動向調査の2018年1~3月期の結果を公表した。従来の全国調査、新設した地域調査とクルーズ調査に基づく2次速報値。訪日外国人の旅行消費額は1兆1121億円と推計。このうち一般客(クルーズ客以外)の旅行消費額が1兆882億円、クルーズ客の旅行消費額が239億円となった。訪日観光客(観光・レジャー目的の一般客)の都道府県別訪問率はトップが大阪府の39.1%、都道府県別1人当たり旅行支出はトップが北海道の10万9607円だった。
18年1~3月期の旅行消費額は、従来調査の算出では1兆1343億円だが、新たに導入したクルーズ調査などを反映させた結果、約220億円程度少なく算出された。また、18年1~3月期の旅行消費額は、17年1~3月期の9680億円に比べて14.9%増だが、調査方法の変更に伴って比較には注意が必要となる。
18年1~3月期の旅行消費額の国・地域別上位5位は、(1)中国3847億円(構成比34.6%)(2)韓国1676億円(同15.1%)(3)台湾1560億円(同14.0%)(4)香港817億円(同7.4%)(5)米国550億円(同4.9%)。
費目別では、買い物代が3962億円(構成比35.6%)、宿泊費が3180億円(同28.6%)、飲食費が2355億円(同21.2%)、交通費が1153億円(同10.4%)、娯楽等サービス費が466億円(同4.2%)など。
一般客の1人当たり旅行支出は15万2258円だった。前年同期との単純比較では2.8%増。費目別の内訳は、買い物代が5万2274円、宿泊費が4万4496円、飲食費が3万2800円、交通費が1万6123円、娯楽等サービス費が6509円など。平均泊数は9.7泊。
一般客の1人当たり旅行支出を国・地域別に見ると、豪州が24万5972円で国が設定する訪日促進の重点20市場でトップ。平均宿泊数が14.6泊で、宿泊費は9万6455円と20市場で最高。スキー客が多いとみられ、リフト代などが含まれる娯楽等サービス費が2万3560円で20市場で最高だった。豪州に次いで旅行支出が高い中国は23万6245円。平均宿泊数は11.6泊、宿泊費は5万2円だが、買い物代が11万7195円で20市場で最高額だった。
クルーズ客の1人当たり旅行支出は5万662円となった。費目別の内訳は、買い物代が4万7945円とほとんどを占め、他は飲食費が2255円、交通費が244円、娯楽等サービス費が218円となった。
一方、精度が向上した都道府県別の調査結果では、訪日観光客の都道府県別訪問率の上位10位が、(1)大阪府39.1%(2)東京都37.2%(3)千葉県29.6%(4)京都府26.8%(5)福岡県12.0%(6)北海道11.7%(7)奈良県8.8%(8)沖縄県7.5%(9)愛知県6.7%(10)兵庫県6.4%―となった。
訪日観光客の1人当たり旅行支出の上位5位は、(1)北海道10万9607円(2)東京都9万7047円(3)長野県7万7191円(4)沖縄県6万9027円(5)大阪府6万4408円。北海道、長野県、さらに岩手県(5万6874円)の旅行支出が高いのはスキー客が多いことが要因とみられる。
都道府県別の結果から分かる訪日観光客の主な旅行動向は次の通り。
大阪府は年齢別で20代(40.1%)、方面別で東アジア(82.2%)の割合が高い▽旅行手配方法で団体ツアーの割合が高いのは、静岡県(62.2%)、山梨県(55.5%)、愛知県(52.9%)、富山県(51.3%)など▽広島県は、旅行手配方法で個人旅行(91.7%)が多く、方面別で欧米豪(43.3%)の割合が高い▽滞在中に利用した交通手段として船舶を利用した割合は、香川県37.3%、愛媛県31.0%、徳島県28.1%など瀬戸内地方が高い。