日本バス協会は13日、東京都千代田区の経団連会館で第91回定時会員総会を開き、2018年度事業計画案、理事の選任などを審議、承認した。18年度の重点取り組み事項として、インバウンド振興に資する準備、バリアフリー対策、働き方改革への対応を確認した。
三澤憲一会長(神奈川中央交通)は「バス事業者は、事故防止と安全確保が最大の使命であり永遠のテーマ」と述べた。バス業界全体の事故は、17年度が前年比64件減の1492件と減少した。一方、死亡事故は同4件増の15件と増え、今年も同日までに6件発生している。
事故対策については「昨年策定した『バス事業における総合安全プラン2020』を元に乗務員に対する、訓練、点呼、睡眠不足などの対策やASV(先進安全自動車)などによる設備投資が必要だ」強調した。
厳しい運営が続く業界事情については「地方において赤字路線が多く苦しい状況にある。生産性の向上だけでは維持が困難。国や団体の支援のお願いや将来を見据えた運転者確保などを進めたい」と訴えた。
昨年度の事業報告では、軽井沢スキーバス事故対策と高速バスネットワークの充実、働き方改革、インバウンド振興、バリアフリーへの取り組みを発表。事故対策として、貸し切りバス適正化機関が行う巡回指導により事業廃止や申請辞退による退出が88事業者あったこと、働き方改革を進めて運転者の時間外労働を年千時間以内に縮減し、24年には960時間を目指すことなどを報告した。また、長時間の時間外労働を縮減する施策として(1)適切な労務管理(2)労働条件の改善と働きやすい労働環境の整備など(3)運転者募集活動の強化、運転免許の自社養成など(4)業務の効率化・生産性の向上―を挙げた。協会は、優良事例の普及や関係省庁への協力要請、フォローアップなどで支援する。
18年度の事業計画としては(1)軽井沢スキーバス事故を受けての輸送の安全対策の推進(2)地方公共団体との連携、協力による乗り合いバス路線の維持、再編(3)インバウンド振興に資する輸送サービスの改善、東京五輪・パラリンピックの準備(4)バリアフリー対策(5)働き方改革における時間外労働の上限規制などへの対応―などを掲げた。
総会後の懇親会には来賓として国会議員が多数出席し、祝辞を述べた。
あいさつする三澤会長