観光白書、2018年自然災害の影響分析 復興支援で短期回復


イメージで旅行回避 抑制が課題

 2019年版「観光白書」(6月21日公表)は、18年に西日本豪雨、台風21号、北海道胆振東部地震などが相次ぎ発生したことから、自然災害が旅行に与える影響について分析した。被害を受けた地域では、一時的に宿泊者数が減少したが、国費を投入して宿泊料などを割り引く「ふっこう割」などの対策の効果もあり、「比較的短期間」で回復が見られたと指摘。災害の種類によって旅行者の旅行計画に与える影響が異なることにも触れた。

 西日本豪雨の影響では、被害を受けた13府県(岐阜、京都、兵庫、鳥取、島根、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛、高知、福岡)の7月の日本人延べ宿泊者数が前年同月比11.9%減に落ち込んだ。8月下旬に「ふっこう割」がスタート。9月が同4.3%減、10月が同3.8%減と下げ幅が縮小し、12月にはほぼ前年並みに戻った。

 9月上旬の台風21号が大阪府の宿泊者数に及ぼした影響では、関西空港が一時閉鎖された9月の外国人延べ宿泊者数が、前年同月比7.6%減に落ち込んだ。その後に官民を挙げた訪日旅行キャンペーンなどが行われ、10月には同18.2%増、11月に同19.9%増、12月に同28.7%増の伸び率を示した。

 9月6日に起きた北海道胆振東部地震では、北海道の9月の延べ宿泊者数が日本人、外国人ともに落ち込み、前年同月比22.1%減となった。10月に「ふっこう割」を開始した効果もあり、10月に同4.5%減、11月には同5.3%増と回復を見せた。プラスに転じた時期は日本人が11月、外国人が12月だった。

 観光庁は、自然災害の発生が旅行実施の判断に与える影響を把握するため、19年2月に国内アンケートを実施した。「宿泊旅行を予定していた国内の旅行先が自然災害の被害を受けた人」の行動や意向を調査した。

 予定通り宿泊旅行を実施した人の割合は、豪雨・台風・豪雪などの場合は回答156人のうち55.8%だった。地震の場合は回答245人のうち33.5%にとどまり、豪雨・台風・豪雪などに比べて旅行を回避する傾向が強かった。

 自然災害を受けて旅行を中止・延期また旅行先を変更した理由(回答数=地震163人、豪雨・台風・豪雪など69人)を複数回答で聞いた結果は、「ツアーの中止や交通網の被害で旅行先への到達、旅行先での周遊が困難だったから」が地震で45.4%、豪雨などで63.8%。「旅行先の人や施設などが被害を受けたから」は、地震が39.9%、豪雨などが20.3%だった。

 この他、実際の被害以外の理由では、「被災地への旅行を自粛」が地震で27.0%、豪雨などで23.2%、「危険なイメージがある」が地震で21.5%、豪雨などで18.8%、「同行者や家族、旅行先の人などに旅行を止められた」が地震で20.9%、豪雨などで15.9%だった。

 観光白書は「災害の種類によって旅行判断への影響の仕方は異なり、特に地震は、旅行を抑制する影響が強く、影響の期間も長くなる傾向にある。実際の被害状況のみならず、危険なイメージがあるといった主観的な理由で旅行を抑制するケースも一定程度存在する。このため災害が発生した場合には、心理的な要因による旅行回避の動きが過度に広がらないことが重要」と指摘した。


 

 
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